介護職員処遇改善加算とプロフェッショナルキャリア段位制度について、
クライアント様から質問をいただいたことについて、お応えしたいと思います!
(医療法人・社会福祉法人共にキャリアパスの設定がスタンダード化しつつあることの現れでしょうか?)
Q1 「処遇改善加算のキャリアパス要件と東京都が補助金を出してくれるキャリア段位制度って何が違うんでしょうか!?」
処遇改善加算におけるキャリアパス要件というのは、加算をもらうための一つの基準です。
一方で段位制度というものは、国から委託をうけた民間法人が運営するキャリアパスの仕組みのことを指します。
国が主導で動いているということもありますので、
キャリア段位制度を導入・運用していると、キャリアパス要件Ⅰとして認められることになっています。
つまり、処遇改善加算のⅡを取得する準備は整ったといってもよいでしょう。
Q2「キャリア段位制度を入れたら、新加算Ⅰを取れるんですか?」
答えは、それだけでは新加算Ⅰは「取得できません!」ということになります。
新加算Ⅰはキャリアパス要件のⅠ、Ⅱに加え、Ⅲ(昇給・昇格の仕組み)が必要になります。
キャリア段位制度だけでは、Ⅲを満たすことができないためです。
Q3 「キャリア段位制度を導入するか、独自のキャリアパス制度を作るか迷っています。どちらの方がよいでしょうか?」
結論から申し上げると、法人様の現状、今後の方針・目的次第だと思います。
キャリア段位制度というのは、企業や事業所ごとにバラバラに行われている職業能力評価に、「キャリア段位制度」という共通のものさしを導入することで、成長分野における人材育成を目指すものです。よって、あくまでも介護職としての資質を高めるための段階を示したものであり、段階を踏んだ先が必ずしも法人の求めるものになるというわけではないということになります。
「方針・目的による」
といっても・・・
例えばどういうこと!?と思われるかと思いますので・・・
例えば!
離職率を下げたい!ということが最大の目的だとしましょう。
その場合は独自のキャリアパスを設計したほうがより効果的といえます。
理由はキャリア段位制度は確かに、スタッフのキャリア形成を助けますが、
スタッフの帰属意識を高めるという意味では弱いと言えるからです。
本来人事評価制度は、
「経営理念実現のために必要な人財を育てる仕組み」です。
経営理念が違う時点で、理想とする人物像も違えば
介護に対する考え方、色、風土も異なります。
にも関わらず、単一の指標をキャリアパスとするわけですから、
言葉を選ばずに言えば、スキルアップの支援だけをする
人財育成工場にもなりかねないというわけです。
(すべてがそうというわけではもちろんありません!!)
離職率を下げるためには、
「この法人でずっと働きたい!」
「ここでキャリアを重ねていきたい」
「ここの理念に共感している」
という思いが必要になります。
つまり、帰属意識、愛社精神などがこれにあたります。
そういった点を考えた際、効果的なのは独自のキャリアパス構築のほうといえるでしょう。
(独自の人事考課・評価制度の構築が必要な理由、とも言い換えられるかもしれませんね)
このように!
目的や方針、または施設形態、法人の形態によって、
どれをどう選んで使っていくと得するか、効果的かは異なります。
「うちの組織はどうなの!?」
という方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください♪
人事コンサルタント
金森秀晃