漫画『キングダム』では王騎将軍のような将軍が目立ちがちではありますが、
国造りを支える文官からも学ぶことがたくさんあります。
漫画の中で秦国の李斯(りし)は、秦王が法治国家をと望んだ際、
「法とは願い!国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ。」
という言葉を残しました。
これは組織の憲法のようなものでもある就業規則や人事制度でも同じことが言えると思います。
組織における人事評価制度というものは、
評価をしてそこに到達しない人を罰するためのものではなく、
願いや期待を表現して、組織を治める人(経営者)の意思を示し、
そのあり方を体現してくれる人に報酬を与え、登用していくためにあるものです。
当然期待する水準に達しない人には報酬を減らしたり、降格させたりということもありますが、
それらは人事制度の一側面であり、本質ではないのです。
それゆえ、その一側面にだけ囚われて制度を作ろうとすると、
その時は最高のものができあがったと思っても、瞬く間に形骸化していってしまいます。
(実際こうした法人様が驚くほど多いです)
だからこそ、私たちは制度設計の際のコンセプト設定を大切にしています。
この組織の職員にどうあってほしいのか
どの階層のどの職種の人間にどのように考え、どう動いてほしいのか
この組織は何にお金をつけるのか
今後どのように育っていってほしいのか
こうした「願い」を明文化にしていくことから始めていきます。
医療機関は各職種の方々が育ってきた環境、その職種における常識、
すべてが違っていて文化も違うスペシャリストが集まっている集団ですから、
一般の事業会社以上にコンセプト設計が重要になります。
根底の違いを認識できないまま設計すると、
形だけの理想郷のようなものになってしまいますし、
理想のない設計も場当たり的で一体感を作りにくいものになるからです。
ここに関しては、内部で色々と議論を重ねるという選択肢もありますが、
コンセプト設計の部分だけでもプロと話し合って進めていけると
目的を果たしやすい制度設計が実現しやすいと思います。
人事制度は組織の憲法のようなものですから、
ぜひそのコンセプト設計や表現手段のところは大切になさってみてくださいね。
そうはいっても、コンセプト設計ができるコンサルタントも実際はかなり少ないと思いますので、
もしお困りのことがあればお気軽にお問い合わせください。
人事コンサルタント
金森秀晃