「病床稼働率をあげることです」
医療機関において「経営課題は何ですか?」とお尋ねすると、かなりの確率でこのように返ってくることが多いと思います。
こんなにも病床稼働率をあげる必要性があるとわかっていながら、
なぜ病院の病床稼働率はあがらないのか?
実際には様々な要因があると思うのですが、
病院の構造上ほぼ必ずといってよいほど「共通して起こり得る」ことがあるので、
その点について皆さんに共有してみたいと思います。
それは…
組織と個人の利害関係の不一致
です。
(病院経営をなさっている方々には釈迦に説法のような話で恐縮なのですが)
そもそもですが経営側としては
稼働率をあげなければ経営も立ち行かなくなるわけですから
なんとかしてあげていきたいというのが普通ですよね。
ですが、一方で医師や看護師など現場で働く専門職にとってはどうでしょうか。
いわずもがな、業績連動型の人事制度でもない限りは
患者を診れば診るほど(受け入れれば受け入れるほど)
定額で仕事が増えていくことになりますから、
そこまで積極的にやりたいかと言われたら、
正直そういう状況にはなりにくいでしょう。
こういう状況になっている医療機関でよくあるのは
理事長や事務長が病院の経営状況について必死に危機意識を語り、
現場の方々に発破をかけるというやり方です。
もちろん間違ってはいないですし必要な側面もあるのですが、効果は「限定的」「一時的」だと思います。
資格職で別にその病院が潰れたところで別の病院で働ける人たちですから
病院の危機意識を共有されただけでは頑張ろう!!!となりにくいからです。
そういう意味では、危機意識や
何のためにという理念を語り続けることも大切ですが、同時進行で、
自分たちの頑張りが組織の利益に繋がり、それが自分たちの利益にも繋がるという仕組み(人事制度)
を構築することが非常に重要になります。
経営者目線、経営者意識を求めるだけでなく、
その結果得られる利益・損失も一部分だけでも共有することが
組織と個人の利害関係の一致を生むからです。
これがないと「頑張る人が損をする」「頑張る人がバカをみる」組織になっていき、
頑張る人はバーンナウトして離脱、頑張らない人は頑張らないまま居座る、
こういう負のループが生まれていきます。
こうなったら残念ながら「経営者目線で!」なんて言っている場合ではなくなります。
人事制度のグランドデザイン段階では、
どのような建付けにしたら組織と個人の利害関係が一致するか、
極端にいったら、どうしたら組織が願う行動を個人が嬉々として取り組む状態にできるか?
ということを考えて設計をしていきます。
ただ頑張りをなんとなくみとめる制度、ではなく
「全員のベクトルを自然に揃える仕組み」として人事制度を使っていくと
経営効率も自然とあがっていきます。
こうしたことでお悩みの方がいらっしゃれば、
ぜひお気軽に弊社コンサルタントまでご相談ください。
人事コンサルタント
金森秀晃