最近、経営再建のために経営コンサルを入れたはいいものの、
その戦略を実行しきれなくて困っているというご相談をよくいただきます。
実際、経営コンサル会社を入れて経営が上向くケースもあるので、
全部が全部ダメだとは思わないのですが、
私たちが見てきた限り、うまくいかないケースは大きくわけてこの2つです。
1)そもそも提示された戦略が机上の空論すぎる。
コンサル会社もピンキリなところはありますので、
業界のことや組織の状況をよくわかっていないコンサル会社さんだと、
完全に実行不可能で「机上の空論」と言わざるを得ないような戦略を提示してくるというケースもございます。
(どういうつもりでこの数字をはじき出したんだろうかという
非現実的な数字の目標を示してくるコンサル会社もちらほら…)
数字的にどれほど正しくても実行しきれなければ何の意味もありません。
この場合は、現場の声も交えて戦略を練り直したほうがよいでしょう。
2)正解はわかっていても医師の協力が得られない。
戦略が良くても結局先生方の協力が得られなければ、絵に描いた餅。
(’私たちの印象としてはこちらのケースの方が多いと感じています。)
とはいえ、先生方に「今よりもっとこういうところを頑張って欲しい」
と言えばいいのかというと、それも少々乱暴です。
先生方も一人の人間ですから、
メリットがなければ動かないと思いますし
デメリットがなければ自分の好きなことをしていたいと思うのも
当然といえば当然だと思うのです。
病院には、医局にこもってあまり診療をなさらない先生もいれば、
この先生いつ寝ているんだろうと思うくらいに働く先生もいると思いますので、
全員一律こうやってほしいと言ってもなかなかうまくはいきません。
手間はかかると思いますが一人ひとりの先生に
「何をどのくらいどうしてほしくて、その結果、報酬はいくらになるのか」
という期待と報酬を伝え、先生方の言い分も伺って
しっかりと合意形成を取る必要があると思います。
(評価制度というのは本来こうあるべきです)
もちろん過度なノルマを立てる必要はなく
(過度なノルマをこなしてもらわないと経営が成り立たないならば、それは戦略の失敗です)
「きっちり全員が最低限の仕事をしてくだされば経営が上向く」
そういう戦略と実行の仕組みを構築することが重要です。
先生方とも密にコミュニケーションを取って、
先生方を巻き込みながら、経営に参画していただくような気持ちで
目的と目標を共有していくこと。
これが遠回りなようで一番の近道というわけですね。
機能しない戦略そのものを買うよりは、
少し泥臭くても「機能する戦略を語り合う仕組み」を育てたほうが
病院の経営再建には役立つということが言えるのかもしれません。
私どもはそうした活動のご支援に関しては自信がありますので、
お困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
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人事コンサルタント
金森秀晃