昆虫写真家の山口進さんが昨年末に逝去しました。
小学生時代に大半の方が使った、ジャポニカ学習帳。
この表紙写真の撮影を40年以上なさっていました。
これを聞くと”あぁ~!”となる方も多いかもしれませんね。
ノートには昆虫の写真がものすごいアップで鮮明に写っていて、インパクトがあるものが多かったですよね。
あまりの迫力に表紙によって”ちょっと触るのが怖いな・・・”と子供心に感じるほどだったことを思い出します。
あの表紙には「共生」という願いが込められていたようです。
これは山口さんご自身が取材活動のテーマに掲げていた言葉でもあります。
撮影者である前に研究者でもあり、観察者でもある。
私たちが意識を向けなければなかなか気づけない虫と草花、
動物と樹木が互いに助け合い、共生する姿を数多く観察し、それを写真に収めていたのかもしれません。
これは先生やクラスメイトなど他者との関わりが増え、
1年毎に著しく変化する多感な時期の子供たちに対し、
”自分ひとりで世界が回っているわけではない”であったり
”自分も共生のために必要な存在、あの人も同じ”ということを
見えないメッセージを送り続けてくれていたのかも・・・と想像してしまいます。
すぐに理解されない、伝わらないことを織り込み済にして表現し続ける。
あの学習帳の表紙には、山口さんの信念が込められていたのかもしれませんね。
ご冥福をお祈りいたします。
人事コンサルタント
金森 秀晃