「よい人材を採用したいが、よさそうな人の応募がない」
「みんな一生懸命やっているはずなのに仕事が減らない、残業も減らない」
「いい人から辞めていく」
そのようなお悩みを抱えている経営者の方も少なくないのではないでしょうか。
先日、福岡県のやました甲状腺病院の病院長、山下弘幸先生のインタビュー記事を拝見し、その悩みを解消するヒントが詰まっていると感じたため、その箇所をご紹介させてただきたいと思います。
「効率をよく仕事をすることも常に考えています。例えば、前任地や開放型病院の看護師は細かいことまでパソコンに入力するため、その前に座っている時間が非常に長いと感じていました。そして、それらのデータは後々振り返るとあまり役に立たないようでした。そこで当院ではほとんどの看護記録を各種様式紙に記載しスキャンして保存するようにしています。大事なデ-タはデジタル、その他はアナログということです。コンピューターよりも患者に向かう時間を確保したかったのです。
1人当たりの仕事量が多くなり、忙しくして辞められてしまうと悪循環に陥ります。新しい職員にはいろいろ教える必要があるのでその分効率は悪くなるし、患者にとっても長く勤める看護師がいた方が安心することができます。余談ですが、クリニック開設時の看護師が現在も外来におり、患者の病状を把握しているので助かっています。よい人が長く残ってくれる病院にしたいと考えています。」
非常に画期的なマネジメントをなさっているなと感じたのですが、ポイントは大きく分けて2つです。
一つ目のポイントは、「目的の追求」。
どのような医療サービスを提供したいのか、という目的から下って作業の内容ややり方・工程をしっかりと判断、決断なさっています。
ともすると、目の前の作業をすることが目的になってしまったりすることもあると思いますが、
その仕事は本当に必要か、何のために必要かという目的意識が現場の方にも伝わっているのを感じますね。
二つ目のポイントは、「良い人材の定着の追求」。
多くの組織は良い人材を「採用」しようというところに注力しがちですが、
山下院長は、良い人材を「定着」させるためにどうすべきかということを重要視していらっしゃいます。
もちろんよい人材を採用するのも重要ですが、よい人材が定着するような組織には自然とよい人材が応募してきてくれるものですし、
何より、よい人材の採用は難しくてもよい人材の定着はポイントを押さえてしまえばさほど難しいことではありません。
一昔前までは「マネジメント」という分野にあまり関心のない先生方も多かったように思いますが、
今では山下院長のように医師としての業務もこなしつつ、しっかり戦略的にマネジメント、組織作りをなさりたいという先生からのご相談も増えてきています。
お忙しい先生方が、より簡単に、より効果的にマネジメントを行っていけるように私も日々精進!日々研究ですね(^^)
人材マネジメントが当たり前に行われて、働く方々の幸福度が高まる組織が増えますように!
人事コンサルタント
金森秀晃