みなさんはVUCA(ブーカ)という言葉を聞いたことがありますか?
VUCA(ブーカ)とは、
・Volatility(ボラティリティ:変動性)
・Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)
・Complexity(コムプレクシティ:複雑性)
・Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)
の頭文字を並べたもので、戦略が複雑化した状態を示す軍事用語でしたが
2010年頃からはビジネスシーンでも活用されるようになりました。
この4つの要因により、現在の社会経済環境が極めて
予測困難な状況に直面しているという社会情勢のことを指す言葉です。
VUCA 時代、つまり、予測困難で正解がない時代に必要な力というのは、
仮説思考や決断力、OODA(ウーダ)ループの意思決定モデルなど、
多くの提言がなされていますが、日本人が確実に身に着けておくべき力があると考えています。
それは…
上手な傷つき方や転び方!
つまり、上手な失敗の仕方と言えるかもしれませんね。
VUCA 時代は定義の通りですが、いわば「失敗しないほうが難しい時代」ということになります。
それに、 VUCA 時代にあって失敗をしないということはただ単に問題を先送りにしているだけとも捉えられますよね。
このような時代の中にあっては、失敗しないための解決策というものが存在しなくなるわけですから、
上手に失敗(致命傷にならない擦り傷)を重ねるスキルをもっている人の方が圧倒的に有利な時代ということになります。
少し言い換えると、出来る限り小さな犠牲で情報を獲得し、勝率を高めていくことに長けた人材が優位だということになりますね。
どうも日本では、
「優秀な人材=失敗しない人」
というような風潮があるように思いますが、世界のスタンダードはすでに変わってきています。
「優秀な人材=(若い内に)数多くの挫折・失敗体験をしてきた人」
これが常識のようになってきているのですね。
(シリコンバレーでは、経歴上の挫折体験は高く評価されるそうですよ!)
そうはいっても、なかなか発想の転換は難しい…
失敗はダメだと思ってしまう…
そう思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今日は最後に、そんな私達の思いを一掃してくれる名言をご紹介したいと思います。
アップル創業者、スティーブ・ジョブズの名言「Connecting the dots」です。
これは直訳すると、点と点を繋げるということになりますが、
要は「過去の経験がその当時は思いもよらなかったことに活かせるときが来る」ということを示しています。
ジョブズ氏はスピーチの中で
「将来をあらかじめ見据えて、点と点を繋ぎ合わせることはできないけれど、後から繋ぎ合わせることはできる。
だから、私達は今やっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。」
とおっしゃっています。
予め、その時は何も得られなかったと思えるような失敗や挫折も 「Connecting the dots」 。
自分の意思次第で、すべて財産にすることができるということを示しています。
失敗を重ねると、つい、失敗から学ぶことがあるとはいえ、すぐに成功できたほうがよかった。
なるべく失敗は最小限にしたかった…と思いたくもなりますが、そんなときこそ、 「Connecting the dots」 。
この言葉を唱えると、今はまだわからなくても必ず活かせるときがくると、起こった事象に対して感謝の気持ちが芽生えてきます。
すぐにはなかなか難しいことですが、「上手な傷つき方、転び方」を身につけて、
味わい深く、成功にも繋げられるような人生を手にしていきたいですね!
人事コンサルタント
金森秀晃