先日ご逝去された山下弘子さん(2012年19歳のときに肝臓がんが発覚し「余命半年」を宣言されるも、
2018年3月まで力強く戦い抜かれました )は、とある取材で、こんなことをおっしゃっていました。
「私は患者として先生に真心を持って接しようと思っています。薬をちゃんと飲んで記録するのも当たり前。
副作用の程度もきちんと次回に伝えるのは当たり前。隠すこともなく、つらかったらちゃんと伝えて向き合う。
自分の気持ちをちゃんと伝えるけど、医師を困らせないようにする。先生を好きになろうとする。
医師を変えようとするのではなく、自分を変えようと心がけています。」
(2月4日 医療維新にて)
私たちは仕事柄、先生方にコミュニケーションの取り方や患者さんとの関係作りのお話をさせて頂く事が多いのですが、
その中で、患者の立場にある方々に求めるべき「受診時における要望」をお伝えすることがあってもよいのではないか、と感じました。
と申しますのも、実はこれ、私たちが日々、コンサルティングでクライエントの方々に
お願いしていることと同じことだったのです。
その場合は私たちが「お医者様」の立場であり、クライエントが「患者さん」の立場であり、
(組織の問題=病気、治療=研修や制度構築、諸々の改革)
私たちは常に、
「改革を進めて行くうえでの“問題”や“事件”を、たくさん共有してください」
とお願いしています。
評価制度の構築、年間を通しての研修などでは、
変化に抵抗を示す反対勢力やどうにもこうにも変わらない方など、
たくさんの問題が浮かび上がってきます。
逆に、コンサルティング開始前よりももっと、問題が大きくなってしまった「気がする」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
確かに一側面だけみると、問題が大きくなってしまったような印象を受けたりもするのですが、それは全く違います。
刺激をしたことで、元々あった問題が“顕在化”したに過ぎません。
(いわゆる、好転反応のようなものですね)
ですので、改革を始める中で起こる日々の問題は、マイナスなようで非常に順調であるという証とも言えます。
しかし、コンサルタントや講師に対して、「前より状況が悪化しています」なんて、なかなか言いにくいですよね??
(実際、起業当初は、気を遣って皆様なかなかおっしゃってくださいませんでした)
患者がお医者様に対して、つい「なんか良くなった気がします」なんて言ってしまうのと同じだと思います。
でも、お医者様からしたら、本気で治したいと思っているのに、そこで変に気を遣われて
治療効果を正確に把握できないというのは非常に残念なことですよね。
だからこそ、私たちは組織の問題を解決する専門家、コンサルタントとして、
最初から
「問題は悪いことではありません。むしろ順調というサインです。ですから必ず共有してください。
●●さんが問題を報告してくださる限り、私たちは解決を決して諦めません」
とお伝えしています。
患者さんが病状や治療効果についての正確な情報を提供し、
医師が最善の解決策(治療方針)を示して、患者さんがリスクやコストを踏まえて方針を決める。
そうした関係性を構築することができるように、医師側も患者側も歩み寄る。
それが最大の治療効果を生む。
これはコンサルタントとクライエントの関係であっても全く同じことが言えると思います。
日々解決策を磨いていくのはもちろんのこと、この「関係構築」の重要性について改めて考えさせて頂きました。
山下さん、様々な気付きをありがとうございます。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
人事コンサルタント
金森 秀晃
例えば、こんな試みを続けると、どんどん信頼は深まっていくかもしれません。