鳴らせる鐘を鳴らしなさい。
完璧な供物を捧げようとするのは忘れなさい。
すべてのものにはひびがある。
光はそのひびから差し込むのです。
(Ring the bells that still can ring.
Forget your perfect offering.
There is a crack.
A crack in everything.
And that is how the light gets in.)
先日もオードリー・タンさんが引用された言葉で話題になりましたね。
オードリーさんはおそらく個人のあり方の文脈でおっしゃったと思うのですが、
実はこれ、組織の人事制度導入に関しても同じことが言えるのです。
そもそも私たちはどうして「完璧な供物(人事制度)」
を職員に捧げたくなってしまうのでしょうか(笑)
おそらくは…
「文句を言われたくない」
「批判されたくない」
やはり、こんな感情が大きいのではないかと思います。
沸き起こるコンフリクトをなるべく最小化したいというのは
それらに対応する責任者の方々のご心労を思えば当然理解できる感情です。
オードリーさんは講演中にこうもおっしゃっています。
「完璧なものを投稿すると、人々はただ”いいね”を押して去っていきます。
しかし不完全なものを出すと、人々は”ここが間違っている、直さなきゃ”と思ってくれる。
そうして私は、未完成なものを公開することで多くの友人を得ました。」
まさに仰るとおりだと思いますが、
人事制度の場合、自分の処遇という意味では”いいね”を押して去るわけにもいきません。
そういう意味では、もちろん関心を持たれずに形骸化していくこともあると思いますが、
コンフリクトも文句も批判も到底避けられるものではないと考えたほうが無難でしょう。
どうせ避けられないのならば、「完璧な供物」を捧げる前に、
鳴らせる鐘は鳴らして、不満も文句も批判も出せるだけ出してもらって、
修正しながら試行までもっていったほうがよいのです。
その方が結局早いし楽だからです。
コンフリクトをなるべく起こさないように
なるべく完璧なのに仕上げるように制作を進めるコンサルさんもありますが、
直後はもちろんすっきりしていて気持ちよくプロジェクトを終えられてよいのですが、
数カ月後、1年後に無関心で形骸化、不満爆発で制度停止などの憂き目にあうことが多いでしょう。
私たちがいなくても大丈夫な組織づくりを支援するという考えのもと、
プロジェクト期間中、私たちが関わっているうちになるべく多くのコンフリクトを起こしておく、
というのが私たちのやり方ですが、
本来であればこのコンフリクト解消が一番大変なわけですから、
もし今後制度設計をともにするパートナーをお探しの方は、
仮に弊社でなくとも、ここをともにしてくれる会社を選んで制度設計を進めて頂きたいと思います。
制度設計やパートナー選定の参考になれば幸いです。
人事コンサルタント
金森 秀晃