「誰一人取り残さない、ではDXは失敗する」
これはLINEヤフー川邊会長の言葉です。
川邊会長は、民間と比べて行政のDX化が遅れた要因として以下の2点をあげています。
・既存のユーザーに対して優し過ぎた
・既得権益に対して優し過ぎた
これを見て、私が最初に頭に思い浮かべたのは病院のバックオフィスの光景でした。
(先進医療のイメージがあると病院ではバックオフィスもさぞIT化が進んでいるのでは
と勘違いされることも多いのですが、バックオフィスのIT化が進んでいるのはごく一部だと思います)
人事管理システムがなくいまだに紙で履歴書や資格証を管理していたり、
500人以上の職員がいらっしゃるのに人事評価を紙でやっていたり
勤怠管理をExcelでやっていたり…
というのはまだ序の口で
給与明細を紙で印刷して糊付けして配っていたり
稟議を紙で行っていたり…
とにかくそれだけで相当な労力を無駄にしている可能性があるので、
人事制度リニューアルに伴い、
それに関連する勤怠管理システムや
人事管理・人事評価システムの導入をお勧めすると…
・一人1つメールアドレスを割り振ってないのでできない
・ログインから苦戦する人が出てくるから難しい
・スマホ持っていない人もいるから難しい
・一人1台端末がないから難しい
・ネットワーク環境がないから難しい
・現場の反発が強すぎて現実的じゃない
などの理由でシステム化にこぎつけないことがとても多いのです。
一般の事業会社でも似たような事例は有ると思うのですが、
おそらく病院の方がその割合や現場の抵抗感は大きいと思います。
病院がDXを推進できない理由も、
川邊会長がおっしゃるように
「最も(システムを)使えない人に合わせようとする」
発想からくるものだと思います。
今まではそれでもギリギリ病院経営も成り立っていたかもしれないのですが、
今後はそうしたバックオフィスの「コスト意識」もしっかりもって
”経営”をしていかなければ立ち行かなくなっていきます。
(無駄な人件費がそこに投下されていることになるからです)
この問題を解決するために重要なことはたった1つ。
「本来あるべき姿から下って考える」
単純ですが、これだけです。
ですがこれは、できない人を見捨てようという話ではありません。
一部の「できない」方にあわせて何十年前のやり方を継続するために
労力を費やすのではなく、
むしろそういう方々が「できるようになるために」
創意工夫をすることに労力を使うべきだという話です。
年齢層が高いからできない人が多いという声をきくこともありますが、
年齢層が高い人でもシステムを若者より使いこなす人もいるのです。
ということは、結局慣れれば誰でもできるということですから、
「やるべきことをなす」ことを当たり前の文化にしていきたいですね。
病院バックオフィスのDX化において、
進めるか否かを悩んでいる方がいらっしゃれば、
1つの指針にしていただけましたら幸いです!
人事コンサルタント
金森秀晃