「悪い情報ほど早く報告(相談)を」
この言葉は、社会人なら誰しも一度は耳にしたことがあるでしょう。
新人研修などでもしつこく言われる内容かと思います。
当然弊社でもこうしたお話はよくさせていただくのですが、
「悪い情報ってなんだろう?」
ときいてみると案外ふわっとしていることが多かったりします。
そんなわけで研修の中では、
この「悪い情報」の中身について
もっと具体的に共有する時間を設けているのですが…
よくあがってくるのは
・ミスをした時
・期日に遅れそうな時
・クレームがあった時
確かにこれはこれで早く知らせてくれたらとっても役にたつ情報ですよね。
ただ、これだけでは正直不十分というか、少々もったいないように思います。
なぜなら、そうしたミスやトラブルが起こる前には
すでにその問題が起こりうる構造や土壌のようなものが
巣食っていることが多いからです。
マネジャーがトラブル対処のみに追われているといいことがありませんし
現場もだんだん疲弊してきますから、
できれば問題が起こる前に察知して、手を打っておきたいところですよね。
では、「悪い情報」の中にどんな要素が含まれていれば、
トラブルを未然に防げるようになるのでしょうか。
それは…
(職業倫理上や人として)
言いにくいけれど思ってしまったこと
言いにくいけれどやってしまったこと
だと思っています。
どの業種でも同じではありますが、
とりわけ医療や介護に従事する方々は、
「聖人」「奉仕の精神のいい人」を求められがちな職業でもあるのでより注意が必要です。
それらが積もり積もると自分の心を殺して働くというような現象を招きかねません。
例えば
・あの患者さんが苦手
・患者さんから「~~」と言われてむかついた
・忙しくて余裕がなくて暴言を吐きそうになった
・(愛のムチなんだけど)上司から「~~」と言われて傷ついた
・何度もナースコールで呼び出されて発狂しそうになった
・◎◎先輩がどうしても苦手
・実はあまり眠れていない
・頑張りたいけど気力がわかない
などなど…
何かトラブルが起こる前にはトラブルが起こる構造があると申し上げましたが、
仮に「理由はないけど、なんとなくあの患者さんが苦手」
という情報が先にあがってきていたら、
一緒にその苦手意識の理由を掘り下げて解釈を作ることができたり、
別の人が介入することができたり(マンツーマンを避けたり)、
負の側面をのぞかせないような仕組みを考えることができたりするかもしれません。
また特別何かトラブルを起こしていたり
表面的には変化がわからない人であっても、
「頑張りたいけど気力がわかない」という情報を先に仕入れていたら
バーンアウトする前に休ませて、長期離脱は避けらるかもしれません。
だからこそ、
(職業倫理上や人として)
言いにくいけれど思ってしまったこと
言いにくいけれどやってしまったこと
を安心して吐露できる場が必要なわけです。
優秀なリーダーが「トラブルを歓迎する」というのは、
起こったトラブルをもぐらたたきのように対処するのが好きということではなく、
大きなトラブルになる前の「芽」を歓迎して、
それらが起こりにくい仕組みを作ることの旨味を知っているからなのでしょう。
真面目な方ほど目の前のトラブル対処に一喜一憂しがちになってしまうと思うのですが、
「悪い情報」の捉え方を組織全体で刷新し、
どんなことでも言える場を作る
これだけでも、少しずつ土壌が変わっていくと思いますので、
ぜひ参考になさってみてくださいね♪
人事コンサルタント
金森秀晃