「プロの仕事」というものには、
業種や職種がなんであれ、非常に美しく心惹かれる。
先日担当してくださった美容師の方は、
まさに「プロの仕事」を体現しているような方でした。
席に案内されて「今日はどのような感じにしますか？」という
いわゆるカウンセリングの際、
そのスーパー美容師さんは
「前回のカットは１ヶ月前くらいですか？」から始まり
「切りたての時ってこういうスタイリングにしてましたか？」
「長持ちするカットの方がお好みですか？」
「伸びてくるときっとこのへんがいつも重くなりますよね」
などなど
「そうです、あれ？なんでわかったんですか？」
という質問を次々としてくださるのです。
僕が「よくわかりますねー！」と驚くと
「私割と年季入った美容師なんで（笑）
髪質や頭の形、前回のカットの仕方をみればだいたいわかるんですよー。
あとこれ、私にとっては結構本番切るのと同じくらい大事な時間なんです。
以前どのように切られていて、どのように伸びたのか、
このままいくとどうなるか、その想像をして
どこを間引けばすっきりするか考えながらカットするんで。」
とおっしゃっていました。
その時も「やっぱりプロってすごいな」と
思いながら髪を切って頂きましたが、
真の感動はそれから１か月後、２か月後でした。
「あれ、全然髪がもっさもさにならない！」
と気づいたのです。
確かに散髪後
「頭の形と髪質的に重くなりそうなところを押さえておいたので、
もちは結構いいと思いますよ」
とは言われていたのですが、ここまでとは！！！
なぜこの方はこんなにも感動的な仕上がりのカットができるのか？
普通にうまいから？
最新の技術を知っているから？
経験豊富だから？
それらももちろんその通りだと思いますが、
答えは、そのスーパー美容師の方が
何気なくおっしゃっていた言葉に集約されているような気がします。
「いろんなカットの技術はありますが、
技術を知っているのとできるのも違うし、
できるのと使いこなせるのも違うんですよね。
私もかなり年季入ってますけど（笑）
新しい髪と頭の形に出会う度に修行が足りないって思いますね。」
まさにこれぞこの方がプロフェッショナルである所以だと思いました。
こんなにも卓越した技術を持ちながらも、
決して「慣れる」ことなくできないことの発見をし続ける姿勢こそが
この匠の技を生み出しているのだと思わずにはいられません。
そんなプロフェッショナルな職人の魂に触れ、
髪だけでなく心も元気になったような気がします。
人事コンサルタント
金森秀晃
