評価制度構築のコンサルティングでよく伺うお悩みのひとつに
勤務態度にも問題ないけれど、結果が振るわないベテラン社員への対応をどうすべきか?
というのを最近チラホラと伺うようになりました。
本人にその話をすると”自分はもういい年だから”と新しいことに
懐疑的で、組織との間に温度差を感じるというものです。
確かに今後60歳定年が一般的ではなくなることを見据えると
若手社員のモチベにも影響してきますし、人事担当者からすると頑張って欲しいところですよね。
一般的にこのような社員はローパフォーマーと呼ばれることが多いです。
しかし先述のベテラン社員は能力や成果自体が若手社員と比べて低いわけではなく、一概にローパフォーマーとも言い切れないケースが少なくないように思います。
業務能力や成果だけを単純比較すれば、ベテラン社員のほうが、入社数年の若手社員よりも高いことが多いです。
にもかかわらず、ある程度の能力と成果はあるはずのベテラン社員が問題視されてしまうのは、両者に対する会社や周囲の「期待・役割」が違うからだと考えられます。
日本では多くの企業が年功序列的な賃金制度や経験による
能力向上を前提とした職能資格制度を採用しており、
処遇(賃金や職位)は勤続年数とほぼ比例して上がっていくケースが多いでしょう。
しかも、一度上がった賃金が大幅に下げられることは、よほどのことがない限りありません。
その結果、ベテラン層は若手に比べると、かなり高い賃金や職位をもらうことになります。
そうなると当然、成果に対する期待値も高くなり、その期待に応えられなくなることでローパフォーマーのレッテルを貼られてしまう・・・
という流れです。
ギャップが生じ始めた際に、調整する仕組み(制度)があることは大前提ですが
・本人がギャップに気付ける機会
・本人と上司がギャップを埋めるために話し合う面談
を早い段階で用意することが人事として必要になります。
ギャップが生じるのはできること・やりたいこと・やらなければならないことのバランスが崩れているケースが大半です。
つまり、このバランスを整えていけばギャップを早い段階で埋めることができ、かつ期待に応えようとし続ける社員を育む土壌が強化されるように思います。
ステップとしてはざっくりと3つに分けられます。
▼STEP1:情報(事実)を共有する
上司の側から言えば、「厳しいことでも、キチンと情報を伝える」ことがポイントです。
周りで何が起きているのか今後どういう状況になるのか変化しないと、どんなリスクがあるのか変化すると、どんなチャンスがあるのかなどについて不都合な事実も含めてしっかりと正しい情報を集めて向き合うことです。
▼STEP2:吐き出させる(自分の気持ちの整理、言語化)
上司のポイントとしては、「みんな同じだ」「あなただけじゃない」説得を絶対にしないということです。
対象の社員から「でもな・・・」というような自分を鑑みるような言葉が出てくるまで、とにかく聞いて待ちます。
この段階では、自分から変化していかないと厳しくなりそうだということは認識できています。
ですが感情的にはまだ納得できてない状態です(先輩たちはよかったのに、今更変化できるはずがないなど)。
▼STEP3:プランをつくる(支援)
上司のポイントは、とにかくワクワクさせる!ことです。
行動を継続させるためには最初にいかに未来をイメージさせて「やりたい!」状態を作るかがキモです。
組織として求めていることを踏まえて、本人がとる行動を一緒にプランニングしましょう。
問題社員の対処と捉えると、人事としては辛いものがあるかもしれません。
ですが、長きにわたり会社に貢献してくれてきた社員に新たな活躍できる役割や
居場所を作ることでの他の社員への波及効果は計り知れないと思います。
参考になりましたら幸いです!
人事コンサルタント
金森 秀晃