「お前には品性がない」
これは私が敬愛する極真空手の師範代から言われた言葉です。
白帯から順当に茶帯まで昇級し、早く黒帯の昇段審査を受けたいと思っていた矢先の言葉でした。
格闘技における強さという観点からは自分としては申し分ないとその頃は思っていましたし、
大学時代の私からしたら「はて、品性とは」という状態だったので(笑)
最初そのように言われたときは、なんだか先生に意地悪をされているような、そんな気分でした。
それでも「押忍」の精神ですから、「品性が足りない」という意味について
自分なりに考え、追求してみることにしたのです。
・キレイで優雅な?言葉遣い、立ち居振る舞いだろうか…・
(天皇陛下のイメージでした。笑)
・欲に溺れず自制心があることだろうか…
・冷静に正しい判断をすることだろうか…
などなど、気品あふれる方やスマートな印象の方々の言動や佇まいを研究し、真似しようと試みたのですが、
試行錯誤を重ねても相変わらず、師範代からは
「品性に欠けるので黒帯の昇段試験は見送り」
という現実を突きつけられていました。
品性…品性…品性…
昇段試験が受けたくて仕方なかった私の頭は品性でいっぱいだったのですが(笑)
ある出来事をきっかけに、昇段試験が認められることになったのです。
具体的な内容は長くなるので省略しますが、ポイントはおそらく、
「人のために尽くす、人を思いやること」でした。
実は、この時は敬愛する先輩のためにという気持ちでいっぱいで、
品性など全く意識していなかったのですが(笑)、きっと師範代が伝えたかった品性とは
「自分の感性や知性を総動員して人を思いやること」なのだとその時思ったのです。
師範代から許可がおり、無事昇段試験にも合格したのですが、それ以来私は、
この「品性」というものを非常に大切にしています。
(残念ながらまだ品性を獲得したとは言えないのですが…笑)
学生時代の腕っぷしや勢いに酔ったまま、
黒帯を手にすることがなくて本当によかったと心から思います。
(もっとも、おそらくそのままだったら昇段試験にも落ちたと思いますが!笑)
もしそこで気づけ無ければきっとろくでもない大人になっていたことでしょう。
昇段試験を春頃に受けた記憶から、この季節にはいつもこの「品性」というものについて考えてしまいます。
一挙手一投足ではなかなか身につきませんが、日々磨き高めていきたいものですね。
人事コンサルタント
金森秀晃