「礼の必要条件とは、泣いている人とともに泣き、喜びにある人とともに喜ぶことである。」
新渡戸稲造 『武士道』の一節です。
「職場での対人関係がどうしてもうまくいかない」
「忙しくて余裕がなく、スタッフにキツくあたってしまう」
このように、思い通りのコミュニケーションができず悩んでいる方は少なくないかもしれません。
(私も「あの時、ああいう風に言ったほうが効果的だったな」とか日々反省です笑)
相手が何を感じて何を思っているのかを汲み取り、行動に表す。
これが、「礼」の徳を備えた人物の振る舞いのように思います。
もし「礼」が欠けてしまったとしたら・・・
相手の立場に立って物事を考えることが難しくなるように思います。
たとえば、メンバーがどうしてほしいのかを想像できず自分中心に動いて自分のやりたいように案件を進めてしまう。
クライアントの意図が把握できず見当違いの提案をしてしまったりなど、さまざまな弊害が生じるかもしれません。
共感力は持って生まれた能力、と思い込んでいる方が多いのですが、これはトレーニングによって後天的に鍛えることができます。
そのトレーニングとは、「フィクション」に触れることです。
科学誌「Science」に発表された米ニュースクール大学の研究者の論文によると、被験者に「ノンフィクション」「大衆小説」「純文学」を読ませたところ、純文学が、他者の感情理解を深める「心の理論」の形成に最も役立つことが示唆されたという報告もあるようです。
(本が苦手・・・、という方はドラマや映画でもOKです^^)
フィクションに触れる体験は、人間の言動には表しきれていない、複雑な心理を洞察し共感する力を鍛える効果が期待できるのかもしれませんね。
ストーリーを楽しみながら、人物たちの心の動きに注意を向けて、想像するトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。
人事コンサルタント
金森 秀晃