職業柄、管理職の方から
「うちのスタッフは、こちらから言わないと全然準備しないんです。どうしたらいいでしょうか。」
「言葉悪いんですけど、要領が悪いのかな、もう少し考えて動いてくれると助かるんですけど・・・」
というようなご相談をいただくことが少なくありません。
数々のケースを見て来たからこそ断言できることですが・・・
スタッフの能力不足というケースは9割方ありません(中には本人が目覚めていないというのはありますが)!
考えられる要因はいろいろとありますが
占める割合が多いものとすると、準備のさせ方の問題があります。
10年以上前、私がプレイングマネージャーとして現場の第一線にいたときのことです。
Aさんというスタッフがいました。
毎日、まじめに仕事をしますし、不平不満を言うわけでもありません。
もちろん、周囲に悪影響を及ぼすタイプでもありません。
ただ、1つ気になるとしたら、いつも落ち着きなくアタフタしていることでした。
当時の私は、要領が悪いのか、もしくは準備不足でイレギュラーな事態に弱いのかのどちらかだと思っていました。
そんなある日のこと、顧客先からAさんの対応についてのご意見をいただくことがありました。
理由は、提案資料を明日送ると言っていたのに、1週間以上経っても一向に送られて来ないというものでした。
「毎日、まじめにやっているつもりなんです。私は要領が悪いんです。大学時代からいつもそうなんです。何をやってもうまくいかないんです。向いていないんですかね。」
私は猛省しました。
ここまでAさんを放っておいた自分に対して無責任さを感じました。
よくよく聞いてみると、Aさんは要領が悪いわけではなく、
日々の「準備」ができていないだけだとわかりました。
毎日の終わりに最高のアウトプットをしている自分をイメージしながらの「準備」が不十分だったのでした。
「準備しっかりな!」と声がけはしていたものの、
準備をする際にどういう要素や視点が必要なのか等、準備に必要な要素を抑えられているかまで確認をしていませんでした。
私は、目標達成を富士登山に置き換えて話をしました。
「富士山の頂上で最高の達成感を感じている自分をイメージして準備をしていたら、間違いなく「酸素ボンベ」を買うよね。逆にイメージをしてなかったら「酸素ボンベ」は準備しようと頭に浮かばないよね」と。
それからAさんは、その日一日の準備が功を奏したものか、私に確認をしてくるようになりました。
「しっかり準備してね」と言うのはたやすいことです。
ただ、それはみんながわかっていることです。
まずは、スタッフにベストな効果を出している姿をイメージさせてみると、最高の効果を出すために必要なものにスタッフ自身が気づくようになります。
その必要なものを確実に準備する力が「真の準備力」と言えるのかもしれませんね。
人事コンサルタント
金森 秀晃