「スタッフがもう少し自分の役割を自覚してくれたら」
「こちら側の意向を汲んで言動をとってくれないものだろうか」
など、上司から部下への期待や要望は尽きることがないと思います。
この要望は、部下への信頼や期待の表れでもあるのですが、
一方で自分でも自覚がないまま不満に変化するという“魔物”とも言えるかもしれません。
以前、とある法人の管理者向けコーチングをしていたときのことです。
「私は際限なく”不足”にしか目を向けていなかったかもしれません」
とご自身の気づきを共有くださいました。
その方は、“部下が役割を認識しない”という不足部分に焦点を当てることで、その他の明るくその場を盛り上げてくれる、仕事への集中力が高いなど、好ましい部分に目を向けることができていなかったのだそうです。
「こんな状態ではいくらメンバーが入れ替わっても、ロクな人がいないに決まってますよね 笑」
と清々しい表情で話していました。
この結果が得られたポイントをひとつ挙げるとするならば
“自分の考えをいったん捨てたこと”が大きいと思いました。
なるべく相手のあるがままを中立でながめること。
その上で充足部分にフォーカスしてみる。
すると「あの子も良いところがいっぱいあるのだな」とか
「未熟だと思いつつ、いまのベストを尽くしているかもしれないな」
という共感が生まれたのだと思います。
ご自身のかくあるべきという考えを捨てるということは、
勇気のいることだと思います。(一時的にせよ自分を否定しないとできないので)
それでも”なんとかしたい”という本来の目的を見失わない強さに勇気をいただきました。
人事コンサルタント
金森 秀晃