研修などで若手社員の意見を聞いていると、
上司の指示が乱暴で雑だということで嫌気がさしたり、理不尽さを感じ、モチベーション低下の要因になるケースは少なくないように思います。
近年ですと、モチベーション低下を回避するために、上司が部下に歩み寄る研修をということでご依頼をいただくこともあります。
しかし、実は
「意図ある」”乱暴な指示”は、部下の準備力を育てるのに一役買うことも証明されていたりするのです。
(もちろん上司にも上司なりの意図があって”乱暴”に指示をだす、というのが大前提ですが)
一般的に”乱暴だな”と思う指示は、どういったものかというと・・・
・業務の目的や意義を最低限は伝える
・目的を達成するためのやり方については漠然とだけ伝え、詳しくは自分で考えろ、というスタンス。
・やり方、完成のイメージは一度自分で考え、それを見てダメだしをして改善していきます。
これらが特徴になります。
「上司の指示が”乱暴”で、いまは良かったなと思います」
先日、ある法人様の次世代リーダー向けコーチングをしていたときに、
こうおっしゃった方がいました。
指示が”乱暴”で良かったと言える要因をよくよく聞いてみたところ
下記のようなことがあったからなのだそうです。
①指示を形にするためには想像力や仮説を立てる力がついたこと
「~しておいて」というように指示が簡素だからこそ、
上司がこれを誰に向けてどのように使いたいのかや、
自分に指示を出した意図などを想像して準備・遂行する力がついたのだそうです。
②相手のニーズを引き出す力がついたこと
”乱暴”な指示で想像を膨らませたり、仮説を立てても、
予算や人数、いつまでに必要かなどは上司のニーズに沿っている必要があります。
指示が”乱暴”であるからこそ、自分で確認を取っておくべきことを決めるようになったことで
量をこなすうちに、ニーズを引き出すことが上手くなり、仕事を進めるスピードが上がったのだそうです。
「最初はもっと丁寧に教えてくれないのだろうと萎えてしまったこともありました。
でももし、丁寧に説明されていたら、自分で考える必要がないので、
準備をすることもなく、言われたことだけしかやれない人になっていたかもしれません。」
笑いながらそのように話してくれました。
懇切丁寧に、迷わないように導くマネジメントも時には必要かもしれませんが、
主体的に考える力を持つ社員を育成することが、
組織の強化や底上げであったり、上司自身の仕事をラクにしてくれるように思います。
”乱暴”な指示を意図的に繰り出すこと、ぜひ活用なさってみてください!
人事コンサルタント
金森 秀晃