先日、コミュニケーション研修受講後のDrから、一つ相談をいただきました。
「患者に対してのコミュニケーションにおいて、
患者はよく私に対して嘘をつきます。
もちろん悪気があるわけではなく、おそらく、
私を失望させたくないという気持ちから嘘をついてしまうのだと思います。
もしくは、自分は大丈夫だと信じたくて嘘をつくこともあるのでしょう。
ただ、嘘をつかれると治療計画に差し障りが出てきて、
結果的にはあまりよい方向にはいきませんので、
なるべく本心を話してもらえるようにしていきたいのですが・・・
もしくは、嘘であるということが治療計画を決める前にわかればよいのですが・・・」
たしかに、嘘をつきたくなる患者の気持ちも
それは患者のためにもしてほしくないという医師の思いもよくわかるような気がしますよね。
そのようなとき、まずは、バーバルコミュニケーションの中で
安心してマイナスなことも共有してほしいというメッセージを相手に届けることが重要です。
相手の不安の払拭が最優先となります。
例)そんなことはないかもしれないけど、
もし薬を飲みわすれてしまっていたとしても、
嫌で飲みたくなかったとしても大丈夫。
どうしたらよいか一緒に考えましょう。
もう少し踏み込むために、
私はひとつ、先生に「しぐさの心理学」について共有しました。
安心感を作って差し上げても、なかなか言えない胸のうちを
察するためのひと手間という意味では、
非常に重要な意味をもっていると考えられます。
例えば、
無意識に喉もとあたりや首まわりに触れたり、
ネックレスやネクタイに触れたりする行動は
不安や恐怖、心配を表しているといえます。
あるいは、手のひらで膝をこすりはじめる、生あくびがとまらない、
瞬きがいつもより多い、なども相手が動揺しているサインといえるかもしれません。
もちろん、首回りにふれたからといって
100%嘘をついているというわけではありませんが、
何度か話を逸らしたりしたあとに、
またその話題をふったときにだけその行動をとるとしたら、
嘘をついているか、つかざるをえない何かを思っていると考えるのが妥当でしょう。
冒頭に相談いただいた先生の言葉がすべてですが、
正しい情報がなければ、精度の高い治療は不可能であり
結果、患者にもよい影響は及ぼしません。
「大丈夫です。何も問題ありません。」
という言葉が本心なのか、本心でないのか?
見極める術をもちたいというのは、プロフェッショナルとして
至極当然のあり方といえるのかもしれませんね♪
人事コンサルタント
金森秀晃