人事評価制度のコンサルティングの現場では・・・
・自己評価が高い人に、低い評価を付けてモチベーションが下がらないか?
・付ける人によって点数が異なると不公平感が出て不満が募らないか?
・基準が曖昧で正しい評価ができているか不安です
評価者側からこんな不安の声があがることも珍しくありません。
確かに、
「正しく評価してあげなきゃ」
「自分の評価でモチベーション下げてしまったらどうしよう」
「狭い職場なのに低い点数付けて険悪に鳴ったらどうしよう」
などの不安や葛藤は非常に良くわかります。
(被評価者より更に間違っていた姿勢を取らなければならない以上、懸念は生まれると思います)
しかし、評価制度というのは、そもそもは、
「正しい評価」をするためのものではなく、「人を育てるためのもの」です。
公平・公正な評価というのはそのための要素の一つに過ぎません。
ですから、必ずしも常に正しく精度の高い評価が求められるわけではなく
被評価者が納得して、前を向く勇気や活力を得ることができれば、
評価は成功と言えるのではないでしょうか(^^)/?
(もちろん最低限、一定の評価基準を元に評価がなされることは大前提です)
その際に重要なことが二つあります。
一つは、どこまでいったら何点なのかの共有が、期初になされていること。
(これは仕組みの問題なのですぐにクリアできますね!)
もう一つには、つけた点数に評価者としての確固たる「理由」を設けることです。
評価は、点数そのものよりも、この「理由」が非常に重要な意味を持ちます。
これが最も重要です。
例えば、同じ「3」という得点を付けるにしても、
理由も特になく「3」だった場合は、
自分はその等級に求められていることは十分にやっているはずなのに上司が厳しいせいで割を食っていると思われてしまうかもしれません。
しかし、こんな風に言われたらどうでしょう?
「基準に照らし合わせるとあなたの仕事振りでは十分に4等級のレベルをクリアしていると思うので4点を付けたい。
しかし、あなたが本来持つ能力を生かし切れているかといえば、まだ十分ではないと思っているので、期待を込めて3点を付けた。
あと2年もしたら管理者になれる資質があるのだから、これに奮起して次回は必ず5点を付けさせて欲しい」
だいぶ印象は変わりませんか?
同じ得点であっても、その理由次第で、その得点は栄養にもなり、毒にもなり得るということが言えると思います。
(更には、その下地にはコミュニケーションの頻度が関わってくるとも言えるかもしれません)
形骸化しない評価制度を作る際には、完璧な「精度」の高い制度を練り直す前に、
部下に前を向く勇気や期待を与える仕組みを整えるということの方が
重要と言えるのかも知れませんね♪
人事コンサルタント
金森秀晃