チームの力を高めること。
これに注力されているリーダーの方は少なくないと思います。
では、チーム力を高めるための教育で最も重要なのはどのようなことでしょうか?
ビジネスマナーを身につけること?
業務に必要な知識を覚えること?
ビジネスパーソンとしての自覚を持って、生き生きと働けるようになることでしょうか?
これらはたしかに新人段階で身につけるべき事柄です。
すべて大事な事なのですが、与える順番がポイントです。
まず与えるべきは、
それは「失敗しても許される」という安心感の担保です。
たとえばグーグルが2012年から取り組んできたプロジェクト:アリストテレスの中で定義した「心理的安全性」がそれにあたります。
心理的安全性はチームの生産性を高める最も基本となる事柄だと言います。
※心理的安全性とは?
心理的安全性とは、サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)という英語を和訳したもの。
ビジネスと強い関連性を持つ心理学用語です。
他者の反応に怯えたり羞恥心を感じることなく、自然体の自分を曝け出すことのできる環境や雰囲気のことを指します。
プロジェクト活動などのビジネスシーンにおいても、本来の自分とは大きく異なる仕事用の人格を演じることなく、チームに所属する全てのメンバーが普段通りのリラックスした状態で活動に参加することを可能にしてくれます。
つまり「否定」「比較」ではなく、
「肯定」であり「尊重」をしましょう、ということです。
ただ、本当に間違っている部下に対して肯定や尊重をしていても、彼らが改善しなければ効果的ではないですよね。
そのようなときは、否定を肯定的に話す、というのがポイントになります。
仮に明らかな間違いをして、そのことに気づいていない部下がいるとします。
緊急性があるときならそのことをすぐに指摘して改善を促しても良いのですが、時間が許す限り否定を肯定的に話してみることをオススメします。
たとえばクライアントとの商談はうまくいったものの、その際に部下のマナーを修正したい場合なら
否定:「なんで勧められる前に椅子に座ったんだ。非常識だな。普通は勧められてから座るものなんだよ」
肯定:打合せの進行役、しっかりやってくれたね。あと、お客さんから勧められてから着席するともっとよくなるな。そうすれば折衝も任せられるようになるよ」
言われてみるとわかりますが、否定的な指導はまったく心に残りません。上司としては良かれと思って指導したのに、むしろこの人の前では否定されるから自分を出さないでおこう、という警戒心が高まります。
対して、肯定的な指導は記憶に残りやすくなります。
そしてこの人の前では、自分を出してもよいんだ、という安全性の担保につながりやすくなります。
肯定的な指導という話をすると、同時に不安要素としてよく挙がってくるのが「なめられる」のではないかということです。
「肯定的な指導って要は褒めて育てるってことですよね。でもうちの会社には、そもそも褒められるような優秀な人材は入ってこないんですよ。むしろ自分はできると勘違いしてる連中ばかりなんで、最初にガツンとかまさないとなめられるだけなんです」
肯定的な指導のお話をすると、このような心配をする方がいます。
このような状態を解決するためにも「尊重」を思い出してみてくださいね。
時に厳しい指導を行っても、その場かぎりとして再度「肯定」と「尊重」のスタンスにリセットです^ ^
すると自然と部下に尊重されると思います。
人事コンサルタント
金森 秀晃