法人向けの「人事考課者研修」の冒頭などで、
よく人事考課のイメージについてお聞きすることがあります。
どうやら人事考課の印象を決定づけているものは学校の通知表のようです。
巷では、人事考課の目的についてまだまだ誤解があるようです。
多くの人は、処遇の決定のために
人事考課があると考えていますが、その考え方は間違っています。
人事考課の目的は、
フィードバックのためにあると考えるべきです。
例えば、組織がなぜ定期的に(1年に1回)健康診断をやるのか?を
考えてみればよくわかりますね。
健康状態の悪い人を法人が発見し現場からリタイアさせるためにやるのでしょうか?
決してそうではなく、本人に検査結果を伝えて、
これからの生活のあり方について気づいてもらうためにしているはずです。
スタッフはフィードバックを受ける目的で、健康診断を受けているのです。
もし、検査結果が法人だけに残り、
検査を受けた本人へのフィードバックがない健康診断があったとすれば、それはやはり異常というものです。
これらと同様、法人は「フィードバックのために人事考課を行う」と考えれば、その土台から発想が変わってきます。
まずは、上司と部下の双方が合意の上で、
期初に、部下の役割や目標などを決めておかないと意味がありません。
学校であれば、不得意な科目も無理に勉強をしたほうがよいのか、
得意な科目をさらに伸ばすように持っていくために勉強をするのか、
先生と本人がよく相談をして決めておくのと同じことです。
よく相談をして、得意科目を伸ばすほうだけが選択されたならば、
不得意な科目は別にしなくてもよいのです。
組織であれば、仕事のやり方や能力の習得方法などについて
話し合う土壌がそこで初めて作られることになります。
また、法人には目指しているビジョン・目標があり、
そのビジョン・目標を達成するために大小の組織、
プロジェクトが有機的に組み込まれています。
そのため、従業員それぞれの目標は、
必ずこれらのビジョン・目標とリンクさせておく必要があるでしょう。
そして、本人が期初に上司とよく話し合って、
自身の役割や目標について合意をしたとします。
ただ、期末になれば、約束が履行されていない部分がやはり出てきます。
そこで初めて、約束の不履行分を根拠とする処遇の問題が議論できるようになるのです。
処遇はあくまでも結果にすぎません。
伸びている会社とそうでない会社の違いは、
この期初の対話部分と事後のレビュー部分の上手・下手といえそうです。
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