「数年後に合併することが決まっているんだけど、最低賃金が上がりすぎてしまったことが原因で、すでに賃金テーブルが崩壊してしまっている。
でも今きちんと制度を整えたところでまた合併後に調整しないといけないとなると二度手間になるから、いいしのぎ方ないですかね?」
先日、病院の合併を控えたお客様からこんなご相談をいただきました。
詳しく聞くと、最低賃金の上昇が昇給のペースとあっていなくて、
10年選手が新卒に追い越される勢いだということで、ごまかしごまかし手当などで補填していたら、
管理者を追い越してしまったりだんだんよくわからなくなってきてしまったというのです。
このご時世ですから、似たようなお悩みを抱えていらっしゃる法人様も
少なくはないのではないでしょうか。
実際のところ、色々と方法はあるのですが、
今日は一番おすすめの方法をご紹介したいと思います。
それは…
合併前にいち早く合併(予定)先と人事制度の大枠だけでも揃えてしまうこと!!
言わずもがなですが、合併後は色々とやることもありますから、
人事制度だけでも早めに調整しておいたほうが後々楽だからです。
特に合併はもうほぼ水面下で決まっているけれど、公にはなっておらず時期も未定というところは
決まってからやるよりも決まる前に粛々と準備しておいたほうがスマートだと思います。
方向性としては…
・合併するところと協働して新しい枠組みを作る
・どちらかに合わせる
この2点になるかと思いますが、
まだ合併自体が水面下の話し合いであり、
どちらになるか決めきれずにいるというような場合は、
「どちらになってもよいように調整しておく」というやり方もあります。
例えば、細かいところまで合わせきらなくても、
以下の3つだけきちんと合わせていれば、統合はさほど難しくありません。
1)コンセプト
年功序列に近い形なのか、ジョブ型に近い形なのか、
何を高く評価する仕組みなのか、何にお金をつけるのか。
ここがぶれてしまうと統合は難しくなってしまうので
まずこれに関してはどのコンセプトで行くか、
方向性だけでも決めたほうがよいでしょう。
2)等級数と等級ごとのレベル定義
賃金制度の統合をする際に等級数とレベルが概ねあっているとなれば、
あとは賞与の様式や昇給額など、調整するのは難しくありません。
3)等級ごとの賃金レンジ
特に等級ごとの上限値が近しいラインで揃っていれば
移行に際して水準が合わずに混乱することが少ないと思います。
細かい評価の反映ルールや評価項目等に関しては
この時点では作り込みすぎなくてよいと思いますが、
1)~3)の大枠のところだけでも揃えておくだけで、
その後の人事制度統合がかなり楽になります。
依頼しても合併後また作り直さないといけない…ということに
ならないように準備を進めればよいので、
制度改定のタイミングで迷っている方がいらっしゃれば、
ぜひお気軽にご相談ください。
人事コンサルタント
金森秀晃