「ドス黒いまでの孤独」
これは現自民党最高顧問である麻生太郎氏が、
ご自身が総理大臣職を担われていたときを振り返って
お話された言葉です。
企業経営で100人の人生をというだけでも相当なプレッシャーですから、
日本という国家、1億人を超える民の未来を背負っての経営ということになれば、
どれほど有能な方に囲まれていようとも想像を絶するプレッシャーと孤独があったというのは想像に難くありません。
それを非常にわかりやすく表現された一言だと思います。
さて、ここで一つよく聞かれる質問です。
そもそもリーダーに孤独が必要なのか?
それはリーダーになりたての方やこれからリーダーになりうる方が疑問に思うことなのではないでしょうか。
誰しも「孤独」になんてなりたくないですしね(笑)
曲がりなりにも20年以上組織のリーダーをやってきた人間が言えることがあるとすれば…
「リーダーにとって孤独は絶対的に必要」
ということです。
理由は単純で、孤独な時間がないと「成果を出すため(勝つため)に必要なこと」ができないからです。
孤独な時間がないと…
①ついつい仲間に頼ってしまうことが増えます
人間は弱いものです。
馴れ合いでやってしまうと、
どこかで、誰かがやってくれるとふんわり期待してしまったり、
仲間に甘えたりする余地が生まれやすくなってしまいます。
②すべて自業自得、すべて自分の責任という覚悟が生まれにくい。
リーダーの最も重要な仕事は「決断」することです。
過程で周囲からの意見、思いを聞くことはあっても
最終的に決断するのは自分自身なわけです。
そしてその決断は100%すべてリーダーの責任です。
孤独な時間を作らないと、自分の決断軸が定まっていきません。
そこに他人の見解が入るとぶれたりあとから他責にする余地が生まれてしまうのです。
③自分自身にプレッシャーをかけにくい。
リーダーの仕事は、時にメンバーに危機意識を伝えたり、
適度なプレッシャーをかける役割も含まれます。
(心理的安全性を確保する必要はありますが、
なんでもいいよいいよーとしていたら組織が成り立ちません)
ですが、一般的に私たちは普通にしていたら
「相手の心境を思うとそこまでいえない…」となってしまうことも多いでしょう。
その状況を最も簡単に解決しようと思ったら、
「自分自身に一番プレッシャーをかけること」なのです。
自分に自らの意思でプレッシャーをかけるからこそ、人にも厳しくできるわけです。
人にプレッシャーをかけられて、それで動いているうちはまだ人に厳しくするのは難しいでしょう。
なぜならそういう人は自分がやられて不快感を感じることを人にすることができないからです。
(サイコパスでもない限り)
日常生活では非常に道徳的で褒められることではあるのですが、
それだけではリーダーは務まりません。
間違えてはいけないのは、
誰も寄せ付けず「孤独になれ」ということではなく、
自分だけの「孤独な時間を作れ」ということです。
自ら進んで孤独に向き合えるリーダーは
結果的に本当に孤独にはならないものです。
その覚悟に人が惹きつけられ、支えたいという人が出てくるからです。
「まだやってみたことがないなー」という方がいらっしゃれば
最初は数分でもよいので、少しずつ「孤独に向き合う時間」を
作ってみることから始めてみましょう。
最初は怖いかもしれませんが、あっという間に物事が動き出すので
きっとびっくりしますよ!
人事コンサルタント
金森秀晃