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「人の不幸は蜜の味」どころか「毒」だった!?

「人の不幸は蜜の味」どころか「毒」だった!?

皆さんは「下方比較」 という言葉をきいたことがありますか?

下方比較は、もともと心理学の社会比較理論に基づくもので
自己の状況をより良く感じるために、
自分よりも不利な状況にある他者と自分を比較する心理的な傾向を指します。

ものすごくざっくりいうと、
人間は自分より不利な状況にある他者をみると、脳が喜ぶようにできている
ということを表現した言葉といえるでしょう。

なんだか文字だけ読むとものすごく嫌なヤツという印象をもたれるかもしれませんが(笑)
これは人間のストレスへの対処メカニズムの一種で、
誰の脳内でも起こりうる反応なので
人間性が悪いから発生する感情ということではありません。

ですが、この下方比較…
その場で簡単に脳が喜び、
自尊心を高めて安心感を得ることができるものですから、
非常に中毒性があり、注意が必要です。

例えば、SNS上で高名な医師、成功した起業家、
影響力のあるインフルエンサー、
人気のある芸能人の失言や失敗を執拗に責めたりして、
自分よりも幸せそうな人、優れていそうな人を蹴落として
その人達よりもマシだと思い込もうとする。
これがまさに下方比較の罠にハマっている状態ですが、
これはもうとんでもなく脳が喜んでしまっている状態ですから、
この中毒から抜け出すのはなかなか大変です。

実際はその場にいて、何も状況は変わっていないのに
影響力のある人や成功者を叩くことで
その人達よりも優位にたったような錯覚に陥ってしまい
だんだんその蜜の味に抗うことが難しくなってしまうからです。

無論、この「下方比較」という性質そのものに善も悪もありませんが、
人間の脳にとって「人の不幸は蜜の味」というのは変わらなくても、
「むさぼってはいけない蜜がある」ことを私たちは知っておくべきでしょう。
喉が乾いても、海水をのんではいけないのと同じです。
快楽に人生を乗っ取られてしまうからです。

では、私たちはどうすればよいのでしょうか。
それは、「下方比較の性質を知り逆に利用してしまう」ということです。

例にあげたように、わざわざ他人を貶めて引きずり下ろして
自分の安心感を得るというのは愚策なわけですが、
例えば比較の対象を「昔、戦争時代を生きた同年代の人」と設定してみるとどうでしょう。
いかに今の自分の状況が恵まれているかに気付くことができると思います。
(少なくとも今は空からいきなり爆弾が降ってくる可能性は低いですからね)

誰かを貶めたり、安心感を得るために周りの情報に触れるのではなく、
「なんでもない当たり前に感謝し、できることがあることに気づく。」
そのために、人間に備わった性質を活用する。
これこそが、本当の個性であり、自分らしさなのではないかと思います。

下方比較の罠にはまりそうになっている方がいたら
ぜひ参考になさってみてくださいね。

人事コンサルタント
金森秀晃

 

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