「できるようになるには、お手本となる人をただ単にマネようとするだけではダメなんですね」
先日弊社のあるスタッフがそんなことを言っていました。
自分自身が後輩スタッフに、仕事に関する悩みを相談された時に自分にもそういう時期があったなと思い出したのだそうです。
スタッフのことを頼もしく思いつつ、どういうことがあったのか話を聞いてみました。
以前の自分と後輩スタッフに共通していたのは
相手のやっているやり方をそのまま丸パクリしてやろうとしていたことだったそうです。
例えば、日々の振り返りや目標設定の仕方なら自分の手順と違うならば、教わった手順通りにやってみる、
自分に知識量が足りないと思ったら、休日に何時間勉強してるのかを聞いて、その時間と同じ量をやってみるなどです。
「だけど、どれもこれも自分にとってはレベルが高すぎて・・・
全然続かなかったんですよね(´Д`)」と苦笑しながらスタッフは当時を振り返っていました。
目標設定なら工程が細かすぎて、こんなに細かくやらないとなのか・・・とか
休日の勉強時間が1日10時間って、やって出来なくはないけど自分の時間も欲しいしちょっと私にはできないかも
と違いに圧倒されてしまったらしく、先輩のことを仙人なんじゃないかと思っていたそうです笑
今振り返ってみると、当時の私はとにかく”正しいやり方”が早く知りたくて仕方なかったんだと思います。
なので後日、先輩に自分にはレベルが高かったということと、なぜそこまでできるのかを質問したのだとか。
すると、自分も最初からこういう風にできたわけじゃないという前置きと、今のやり方に至った経緯を話してくれたのだそうです。
スタッフは「それを聞いて”だったら私にできなくて当たり前だな”と気が楽になったんです」と言っていました。
・結果を自分ができるようになることではなく、お客様の組織がよくなることに置いている
・上手くいった、いかないを○×の評価ではなく、事実として捉えている
・手順を可変的なものとして考えている(絶対にこれで大丈夫と過信していない)
実際に聞いたのはもっとあるのですが、ざっとこのようなことが違いとして浮かび上がってきたのだそうです。
「物事の捉え方がそもそも違うのに、同じ行動を取ったとしても上手くいくはずがないですよね。
それ以降はやり方を聞くんじゃなくて、どう考えているのか・捉えているのかという無意識の部分について質問するように変えたんです。
先輩は意識してないことを答えるんで、ちょっと苦しそうですけど笑、付き合ってくれてるのでありがたい限りです。」
穏やかな表情で話してくれました。
スタッフにやり方を質問してきた後輩スタッフには、まずは自分のやり方を敢えて伝えてみているのだそうです。
「そのうちつまづいて、気付けると思いますよ。」といたずらっ子のような表情を浮かべていました。
すぐに近道を教えた方が、自分の手間も少なくなるし後輩スタッフにとっても楽なのかもしれません。
ですが、敢えて考えさせる間合いを持つことで、現場でお客様と対峙するための胆力を作ろうとしているのでしょう。
こうやってプロセスが受け継がれていく有様を肌で感じることができ、気が引き締まりました!
人事コンサルタント
金森 秀晃