最近ご質問いただくことの一つに「人事異動の是非」があります。
人事異動には様々なメリットがあるから使わない手はないでしょう
という方も多いと思うのですが、
なぜここで「是非」という言葉を使っているかというと
以下のようなご相談をいただくことがとても多いからです。
「事務の異動を行ったら、医事課は専門性が高い仕事なのに、
総務から異動してきた人が使えなくて困ると現場から苦情を言われた。」
「病棟異動したら雰囲気もやり方も違ってまるで転職したみたい。
前の病棟に戻れないなら辞めたいと言われた。」
「前の部署の方が効率のよい仕事ができていたのに
途端に前近代的になった気がして合わない、
モチベーションが下がったと言われる。」
確かに、こんなお声がどんどあがってきたら
「あれ、人事異動ってやらないほうがいいのかな?」
と思ってしまうのも無理はないと思います。
ですが結論としては…
人事異動は…
した方がよい!!
とお伝えしておきたいと思います。
なぜかというと、
先に上がってきたマイナスの意見というのは
今まで浮かび上がっていなかっただけで
問題・課題としてはずっとその組織に存在してきたものだからです。
人事異動をきっかけにその問題が噴出したに過ぎないという意味では
むしろ、問題・課題が浮かびあがってきてよかったと考えるべきでしょう。
もちろん目的や意味のない行き当たりばったりの配置転換は
職員の疲弊を招くだけですが、目的と意味さえあれば
そうした問題が出てくることは織り込み済みにしておくべきだと思います。
当たり前のようですがその目的を本人はもちろん
部門長や全職員にしっかりと伝えておくことも非常に重要ですよね。
目先の問題や課題に必要以上に惑わされることなく、
どういう目的で人事異動をするのか?を考えて
手段としての「人事異動」はもっと自由に柔軟に考えていきましょう。
最後になりますが、
人事異動の目的を考えるためにも良いと思うので
今一度人事異動のメリットを整理しておきます。
①人に仕事が付かず、仕事に人をアサインできる組織になる
これはとても重要ですよね。
誰かが休んだり辞めたらその仕事ができなくなってしまうというのは
組織としてあまりよい状態とはいえません。
②職員の能力が開発されて居場所ができる
他の部署ではあまり能力を発揮できなかったけれど
場所を変えたらものすごく力を発揮するという方も中にはいらっしゃいますよね。
また、総務課から医事課、経営企画、システム室等
色々と配置転換をしながら最終的に事務部門をまとめるリーダーになれば
現場のことをよく理解できる心強いリーダーになるでしょう。
③視野が広がり、課題が見えやすくなる
一つの部署にしかいたことがないと
その組織を客観的にみることは難しいと思いますが
前いたところと比べるとこういうところはいいところだな、
こういうところは向こうの方が効率がよさそうだななどと
今所属している組織をよくしていくエネルギーを作ることができます。
4月~5月に人事異動があるという方も多いと思いますので、
是非、参考になさってみてくださいね!
人事コンサルタント
金森秀晃