病院に専任の人事部長(人事の責任者)をたてる
これは今後、日本のインフラである医療を支えていく上で、
非常に重要なことだと思っております。
なぜか?
人的資源(つまり医師や看護師などのスペシャリスト)の提供するサービスによって成り立っているはずの医療業界には
組織の中に人事のことを専任でなさっている方(専任の責任者)が
ほとんどいないという現状があるからです。
一般の事業会社においては、信じられないかもしれませんが…
・そもそも人事部がない。
事務部門のトップである事務長がすべてを行っている。
・採用担当者が職種ごとにバラバラ。
一貫した人事ポリシーもない。
もちろんそれに則したしっかりとした人事制度もない。
・採用戦略、採用指針、面接スキルもない。
中小規模の医療機関ではこうした組織がほとんどでしょう。
医療機関の方はこれに慣れているかもしれませんが、
組織の規模からするとこれはなかなか驚くべきことなのです(笑)
一般の事業会社においては「人事部」といえば、
組織の最も優秀なトップセールスマンを配置したりするほど、
非常に重要なポジションとして捉えられています。
いわゆるエリートコースとしても有名ですよね。
それもそのはず。
人事部は組織において最も重要な経営資源の一つ、
人的資源をコントロールする管理部門の中でも重要な部署だからです。
では、人材の質がダイレクトにサービスの質に影響するこの医療業界において、
なぜ「人事部」が存在しないというようなことが起こるのでしょうか?
一つには医療業界がライセンス持ちの専門家集団であるという背景があげられます。
事務=ノーライセンス
ノーライセンス=資格がなくてもできる仕事、
つまりは誰でもできるたいしたことのない仕事
として考える方がいまだにいらっしゃるということです。
もしくは、あまり真剣に人的資源を扱わなくても、
経営が成り立ってしまっていたということもあるのかもしれません。
(市場の熾烈な競争下では
人的資源の充実を図る担当者がいなければ
組織としてきっともたないでしょう。)
しかしご存じの通り、医療業界においても
しっかりと「経営」をしていかないと、
生き残っていくことは難しい時代になりました。
人材の質=サービスの質といっても過言でないこの業界で
その人的資源の充実を図る責任者がいないというのは、
大きな痛手になっていくと思います。
実際、この事実にいち早く気が付いている医療機関と
目の前のことに追われて手付かずの医療機関では
すでに売上、利益、離職率、獲得できる人材の質に大きな差が出てきています。
ですがそうはいっても、
いきなり今日から人事部長を!というのも無理な話です。
ポストを増やすのもいきなりは難しいでしょうし、
ノウハウや経験の面でも突然は難しいでしょう。
かといって全部プロに丸投げすれば済むのかといえばそう簡単なことでもありません。
実際に組織を作るのは、現場の方々だからです。
だからこそ、私たちは組織の中に
「社内人事コンサルタント」を育むつもりで
コンサルティング業務にあたっています。
まずは組織の中に人事や組織作りの重要性を認識いただける仲間を増やして、
「専任の人事部長(人事課長)が必要ではないか?」
という認識を作っていきたいと思っています。
(そういう文化がそもそもない組織が多いからです)
ですから、当然、
組織の中に徹底的に仕組みやノウハウ、考え方を残していきます。
ただ単に出来合いの人事制度を当てはめても何の意味もありません。
どのような存在であるべきで、
そのためにはどのような組織を目指すべきで、
そのためにはどのような人を育てる必要があって、
そのためにはどのような人を評価する必要があって
(これはいわゆる人事ポリシーにあたりますね)、
だからどのような仕組みが必要か?
それはどのように組み立てていけばよいか?
それを出来る限りたくさんの方を巻き込んで一緒に考えていく。
そうして「人事」の楽しさ、醍醐味を味わっていただく。
そしていつか、病院に当たり前のように
人事部長やCHRO(最高人事責任者)が配置されるようになり、
「そういう人がいないでどうやって病院を経営するの?」
と言われるくらいにしていきたいと思っています。
一つひとつの医療機関の組織作りはもちろんのこと、
医療業界全体の「当たり前」を変えて、
所属していらっしゃるスペシャリストたちの専門性がより生かされ、
誇りとやりがいをもって働ける組織作りができるように
これからも、私たちは挑戦し続けていきたいと思っております!
(追伸)
一緒にこの国のインフラを支えていくメンバーを募集中です!
採用ページもリニューアルしたのでぜひご覧になってみてください。
人事コンサルタント
金森秀晃