皆さんは、神聖ローマ帝国の皇帝フリードリヒ2世が行った
ある実験についてご存じでしょうか?
「言葉を一切教わらなかった赤ちゃんは、どうなるか?」
という素朴な疑問を抱いた皇帝は、生まれたばかりの子ども約50人を集め、
部屋に隔離し、下記のような条件を課して実験を行いました。
・十分なミルクを与え、おむつを替え、お風呂にも入れていい
ただし…
・笑いかけてはいけない
・話しかけてはいけない
・機嫌をとってもいけない
つまり、生きるのに必要な最低限の世話以外は、
一切の愛情表現をしてはならない
という恐ろしい実験でした。
その結果は、驚くべきものでした。
実際の詳しいデータなどはわかりませんし、
真偽のほどはわかりかねるところはありますが、
ほとんどの子どもが3歳を迎えるまでに亡くなったというのです。
(知的障害や情緒面で障害を持った子もいたそうです)
今では考えられない、非常に恐ろしい実験ですが、
言葉がけとスキンシップが、命を育むのに非常に重要な要素
ということが伺える逸話です。
これは赤ちゃんに対する実験ということですが、
人間である以上、本質的には大人でも変わらないと思っています。
大人の場合、自分で衣食住は何とかできることを考えても、
自尊感情、つまり、自分で自分のことを愛する力、
がすべての大人に備わっているかといえば、
そういうわけでもありません。
しかし、この自尊感情というものは、
答えのない社会を生き抜き、自分自身を育むうえで
非常に重要な要素の一つです。
一人の大人がいきいきと生きていく上での
必須条件といっても過言ではないでしょう。
IT化に伴い、必要な仕事上の会話、やりとりは効率よく行っていたとしても、
相手を気にかけたり、大事に思う気持ちを伝えることを
現代の私たちは、少し軽視しているかもしれません。
時勢として「ハラスメント」に気をつかって
ということももちろんあると思いますが、
・相手の価値観を尊重すること
・目を見て話すこと
・相手のために時間を使うこと、作ること
・相手のペースを可能な限り尊重しようとすること
・できないことばかりでなく、できるようになったことをみようとすること
・少しの変化を褒めること
・相手の存在そのものを認めること
こうしたことは、相当派手にアプローチを間違えない限りは、
相手に基本的な信頼関係の構築に繋がっていくでしょう。
それが上司と部下の関係であれば、
「自分は大切にされる価値がある人間だ」と部下自身が思えた時に、
その上司は、上司としての役割を果たしたといえるのだと思います。
自尊感情を育むことができれば、
その人は自分で自分の道を切り開く力を得るからです。
IT化が進み、ますます「効率」が良くなる世の中にあって、
こうした「非効率」がかえって大きな効果を生むこともある。
この実験から改めてそんなことを考えた次第です。
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人事コンサルタント
金森秀晃