”自分の経験は、どれほど小さくても百万の他人がした経験よりも価値ある財産である。”
ドイツの作家、レッシングの言葉です。
以前、とある法人様の管理職向け研修で経験則について質問があったそうです。
部下から相談を受けるときに
「行動量が少ない気がするので、アプローチを倍にします」
「10回だと多すぎる気がするので、5回に減らそうと思います」
という感じで相談を受け、理由をさらに尋ねると「これまでの自分が思う傾向から考えました」というように判断がしにくい返答が来る。
自分としては、根拠をもっと示して欲しいのだが、どのように導けばいいか?というものでした。
確かに、経験則から”おそらくこうであろう”という予測が
アプローチを変える判断材料のひとつにはなると思います。
一方で経験則頼りになってしまうと、ほかの人に教えるときや
精度を高めたいとき、上司を納得させて合意をとりたいときなどには説得力としては少々弱いかもしれません。
このような時に上司の方に試していただきたいのが、
部下に自分が感じたことの数値化をさせるということです。
例えば、営業活動において対象顧客に対してのアプローチが少ないから多くしようと思う。
と部下が報告を挙げたとします。
数値化する項目例としては
・これまで自分は成約に至るまで平均何回アプローチしていたのか
・自分よりも結果を出している営業マンは成約に至るまで何回アプローチしているのか
・自分と結果を出している営業マンのアプローチ回数の差はどのくらいあるのか
といった感じです。
数値化することで
・他者との共通認識がとりやすくなる
・考えていることの妥当性が感覚頼りではなく、根拠ができる
・その場の対処だけではなく、次に行動するときの指標になる
ということですね。
自分の経験だけに頼りきらず、経験の精度も高めていく。
経験が財産とよく言われますが、財産の質も高められるように導くのも上司の役割の面白さのように思います。
ぜひ活用なさってみてください。
人事コンサルタント
金森 秀晃