先日テレビで、「狩野派」のふすま絵などの復元をなさっている
馬場良治さんのドキュメンタリーを拝見しました。
平等院鳳凰堂や三千院などを手がけ、国の「選定保存技術保持者」にも
認定されているプロ中のプロの方のお話でした。
そこで私は、衝撃的なシーンを目の当たりにすることになります。
傷みが激しく、ふすま絵に何が描かれていたか、ほとんど形が見えないところから
400年前の作者が描いた線を読み解き、復元のアウトラインを
決めていく工程が映し出されていたのですが…
丸2日間ふすま絵に向き合い、
あぁでもない、こうでもないと苦労して見出した仮説をたてた翌日、
馬場さんは、なんと、その仮説をあっさり捨て去り、
また「ゼロベース」で考え始めたのです。
通常私たちは、そこまで自分が考え抜いた答えが目の前にあったら、
(しかも馬場さんほどの経験と実績があったら)
ついそこに飛びつき、きっとこれは正解だと
自分を正当化する情報を集めてしまうと思います。
でも、一流は違いました。
常に昨日の自分を疑う、絶対はないから昨日の自分を壊すことが重要
当然のように、そのように語っていらっしゃいました。
復元という目的のために、常に 昨日の自分を壊し続ける、
そのプロフェッショナルな魂に触れ、胸が熱くなる思いでした。
ふすま絵を復元なさっているときは、作者の癖や性格、背景を考え、
高名で有能な父親の後を追ってきたという作者の苦悩に思いを馳せる
描いた本人の志を掘り下げることで、心が震える感覚を味わうことができるのだとおっしゃっていましたが、
これも、この仕事を心から愛している方からしか出てこない言葉だと思います。
「必要とされているから、やる
何が好きかではなく、自分が必要とされることが幸せ
そういうありがたいことを無視してはならない。
常に、賢明に打ち込む。だからこそ、70過ぎても今が青春だと思える。」
私も、そんな風に、仕事を愛し、今が青春だと自信をもっていえる
プロフェッショナルであり続けたいと勇気を頂きました。
やはり色々な分野のプロに触れるというのはいいものですね♪
人事コンサルタント
金森秀晃