みなさんは、『鬼と人と』という本をご存知でしょうか?
小説家、堺屋太一氏が描いた、織田信長の物語で、
ユニークなのはそれを、織田信長自身と明智光秀、それぞれの独白形式で語らせた点です。
皆さんの周りには「この人のいうことは理解できない」という人がいたり
「あの人は何を考えているかわからない」という人がいるでしょう。
また、全く同じ景色を見たり、全く同じ出来事に遭遇したにも関わらず、
両者は全然違う捉え方、感情を抱いていたという経験をした方は少なくないはずです。
「共感」というのは、相手と同じようにものをみて感じる状態のことを指しますが、
なかなか可視化できるものでもないですから、
感覚を掴むのが難しいと思われる方も多いと思います。
(心理学的には、自分の目線で人の心を推し量ろうとするのは「同情」と言われています)
それが、人間が「共感」することの難しさを象徴する要因の一つではありますが…
この『鬼と人と』という物語を読んでいると、それがよくわかります。
織田信長は、いわば伝統や常識を廃しても、欲しい結果のために必要なことを断行できる、結果を出す鬼。
明智光秀は、伝統や常識の範囲内で、結果のために必要なことを懸命にやりきる人。
同じ出来事も、対照的な二人の目から見るとこうも違って見えるのか…
と驚かされます。
この構図は、現代社会でいうと、
稀代の起業家と周囲の常識的で優秀な社員になるのかもしれませんが、
この捉え方の差分については、どのような人との間でも言えることでしょう。
この差分が明確に存在するのだということを、認識することから、
本物の「共感」が始まると私は考えています。
『鬼と人と』は、それを感じることができるだけでも、
非常にお得な小説だと感じます。
是非、一度手にとってご覧になってみてください♪
人事コンサルタント
金森秀晃