医療業界で、患者様やそのご家族からご意見(いわゆるクレーム)を頂く際に
対応する担当者が頭を悩ませる項目に、「医師の態度が悪い」というものがあります。
体調が悪い中、外来で我慢してずっと待っている。
やっと自分の番だ・・・!
と思ったら、こっちの話をロクに聞きもしないで「じゃあ、お薬出しときますから」と
診察が1分もしないうちに終わる。
職業柄、医師の方々のお話を伺うことも少なくないので
全ての医師がそうではないということと、
彼らの命を預かるという責任と過酷な働き方をしている方が大半なのです。
医師も人間。疲弊してそうならざるを得ないというのもあるように思います。
(もちろん前提として、プロとして患者さんにそういう印象を持たれてはならないことはありきですが)
これまで弊社では、医師の接遇マナー研修やコミュニケーション研修など、ソフト面のサポートをさせていただいておりました。
これと併せてICTの力を使い、医師が働く環境も整えることが、患者さんの満足度向上と医療の質を上げひいては医療機関の評価をも上げていくことに寄与すると思います。
ICT筆頭して挙げられるのがAiの活用です。
AIの活用と言うとAI診断ばかりに注目しがちですが、もう1つの大きな流れが医師の働き方改革への貢献です。
現実の医療現場では、医師がする必要がないような業務を医師や医療従事者が行っているようなケースが多いのです。
医師の資格がなければできない仕事だけでなく、書類作成など医師でなくてもできるような仕事もしなければなりません。
パソコンを使った業務処理をソフトウエア型のロボットに実行させるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIを活用することで、医師の業務の一部を役割分担できるようになれば、医師の働き方改革につながります。
医師とAIなどのICTが役割分担をしていかないと、今後の医療は成り立たないだろうという考え方については、多くの医療従事者が一致していると感じています。
実際にAI活用を診察に加えたことで、初心問診の時間が従来の1/3になり、削減できた時間を患者さんへの説明に費やす等ができるようになったという実績を出している医療機関もあります。
課題と考えられる人材そのものの教育と、その方を取り巻く環境(仕組みや設備)の整備。
これからの時代はこの二つを同時並行で整備していくことが”組織の根本改善”になっていくように思います。
人事コンサルタント
金森 秀晃