戦国武将、武田信玄の弟・武田信繁をご存知ですか?
本来であれば、家督争いなどが起きてもおかしくないほど
優秀だった信繁は、兄信玄に最期まで忠誠を尽くしたとして、
家臣はもちろん、敵方の武将たちからも尊敬された存在です。
その信繁が残した「信繁家訓九十九ヵ条」にはビジネスにおける
経営者、管理者層が目にとめておくべき珠玉の名言が数多く示されています。
(実際、武田家の強さの秘訣は、この家訓、いわば武田家の憲法のようなもの
によるところが大きいと言われてきました。)
とりわけ私が好きなところがこちら。
「家中の郎従に対して、慈悲の心が肝要である。
家来の者が病気で苦しんでいる時は、たとえ手間がかかっても、心をこめて指図を加えてやりなさい。
臣下の身を、自分が喉の渇きのように思うことだ。」
つまり、慈悲を施すことが人の上に立つ者の務めであり、
部下にも人として大切に思っていることを伝えることが大事だと説いています。
部下の傷みを自分の傷みのように捉え、苦しみを分かち合い、導くということは
日々戦うものが多い経営者の方や、
結論ばかりが先に見えてしまう仕事ができる方にとって
大変に手間のかかることでありますが、
命をかけた戦いをしていた集団のNo2が、これが重要だというのであれば、
生存率を高めるために重要であることは間違いありません。
結果を出すリーダーの行動規範としてのまさにゴールデンルールといえるのかもしれませんね!
それにしても、部下のことを、
自分の喉の乾きのように思うという言葉に思いを馳せると
その孤高さに、涙がでそうになりますね。
(戦いの最中における乾きというのは、生死をわかつほどのものだったでしょうし、
あの重い鎧をきて、クーラーもなく、野戦を続けた中で感じる乾きを想像すると
彼がどれほど部下のことを思って、手間をかけようとしていたかがわかります。)
そんなリーダーがいたら、たしかにその人のために、
命をかけたくなりますよね。
求めるよりも、まず与えるところから!
簡単なことではありませんが、日々少しずつ表現していけるようにしていきたいものですね!
人事コンサルタント
金森秀晃