私たちのメインクライアントは医療・介護業界です。
病院や介護施設には、当然のことながら
同じ場所で同じ景色を見ながら亡くなっていく方々もいらっしゃいます。
そこで働く医療従事者の方々、介護スタッフの方々は日々、
様々な方の「最期」に触れ、人生について思いを巡らせるとおっしゃいます。
例えば先日、施設の方より、こんな話を伺いました。
末期がんのご利用者様で、もう旦那様は他界されているというある女性の方の最期に触れ、
「こんな死に方が出来るような人間になりたい」と思ったというお話です。
いつも明るく、かわいらしく、施設の人気者だったその方の最期の時、
その方は、痛みに耐えながら何かに祈っているような仕草をされていたそうです。
(医師の話から、きっと壮絶な痛みだったのだろうと思います)
「旦那さんとちゃんと会えるといいですね」とその場にいたスタッフがつぶやくと、
「皆さんが幸せになりますようにって祈ってるのよ」とおっしゃったそうです。
「人のために祈りながらって幸せじゃない」と言って、そのまま、眠るように息を引き取ったそうです。
そこにいた誰もが
「こんな死に方ができるようになりたい」
と思ったと思いますが、
その介護士の方は「こんな死に方ができるように生きたい」と思ったのだそうです。
こんなのんびり生きている場合じゃないと焦燥感に駆られたと言います。
その方は、その日から、
どうしたら人生の最期に、壮絶な痛みの中でも人のために祈れるか
と考えながら過ごすようにしたところ、
不思議なことがおこったそうです。
いつも何か足りないと不満だらけだった自分が、誰に対しても何に対しても感謝せざるを得なくなり、
何か思うところがあれば、後で、ではなく、今、伝えなければと思うようになり、
終業の時間ばかり気になっていた仕事に、時を忘れるほど夢中になり、
殻にこもるのではなく、人の価値観を知ることに熱中し、
嫌いだと思っていた人を、愛らしいと思うようになり・・・
面倒だと思っていた管理職を目指したいと思うようになり・・・
来年には新しく立ち上げる施設の施設長を任される予定とのこと。
一人の人との出会いで、人生は大きく変わります。
それが、人の最期ということであれば、なおさらということなのかもしれません。
どこまでも尊い仕事であると思うと同時に、
日々向き合うものの大きさを思うと、本当に大変なお仕事であるとも感じさせられます。
私たちのクライアントはそうした方々ということもありますので、
人の生き様を見る目というのは、他業界とは段違いに鋭いと思います。
だからこそ、私も、死ぬ間際、どんな苦しみの中にあっても、
誰かのために祈れる人間でいるために、1日1日をどう生きるべきか、
常に問うて参りたいと決意を新たにさせて頂きました!
素敵なお話お聞かせいただき、ありがとうございます!
人事コンサルタント
金森秀晃