人事評価制度の運用に際しては、こんなご相談をよく伺います。
・評価者により評価の基準が異なるため公平性を欠く
・評価基準をきっちり決めたいが、決めるとそれはそれで部署間で不公平になることがあるので困っている
・評価の目線を揃えるために、研修をしたいのですが・・・
確かに、評価基準を決めたり、目線を揃えるというのは
納得感をもたらすためにも非常に重要な視点だと思います。
しかし、学校のテストや、機械の安全基準のように
明確に白黒つけて議論の余地なく決められるような基準は多くの評価制度には向かないと、私は考えています。
(営業会社でフルコミッションなどの場合は数字がその基準になるというのはよいと思うのですが
とりわけ私が関わることの多い、医療・介護業界ではあまり向かないことが多いでしょう)
例えば調剤薬局様で、正確性やスピード感を計る指標があったとします。
「1日40枚を勤務時間内に捌くことができれば100点」
と決めてしまったら、内科の処方箋が多い店舗と整形外科の処方箋が多い店舗、
一包化が多い店舗など、店舗特性がありすぎて、「決めたことが逆に不公平」になってしまいます。
ですから、本当に必要なことは明確な基準ではなく、
たしかにこの店舗でこの内容で30枚捌けていれば十分なスピード感だ
という納得感と合意形成。それさえ得られれば、それが最も公平といえるのではないでしょうか。
ただ、そうはいっても、ある程度の基準は作って、それをもとにできるだけ公平な評価をと思うのは
経営者・管理者として当然のお考えだと思います。
その際に私どもが評価者研修等で行っている内容を少しだけご紹介します。
1 ある評価項目について、それらが発揮されている場面を想起して、評価者の間で共有する
2 ある評価項目について、5点満点が付けられる行動とはどのようなものかの意見交換する
3 事前に用意した架空の人物像に対して全員が評価をおこない、意見交換する
このように、実際の場面を想像して、肌感覚で評価者が求める基準を明確にしていくのです。
(この手間を省いて機械的に明文化しすぎてしまうと、先ほどの例のように評価制度の罠にはまってしまいます)
評価制度の基準に関して重要なことは「明確化」よりも「共有化」です。
このひと手間が組織の文化を醸成していくことや評価制度のフィット感を高めていくと考えています。
この他にもたくさん共有化の方法論はございますので、
評価の基準にお悩みの方は是非、ご相談ください(^^)/
人事コンサルタント
金森秀晃