先日、ブログのお問い合わせフォームに下記のようなご相談を頂きました。
シフトが苦しい中で部下が有休を申請してきたので、事情を尋ねると
「プライベートなことに立ち入ってくるなんてハラスメントだ」と言われてしまいました。
絶対に取らせないということを言いたいわけではないのですが、
正直今休みを取られると利用者さんや他のメンバーにも負担がかかるので、
本当に今取らなければいけない休みなのかを確認したかったのですが、 これはハラスメントになるのでしょうか?
非常に難しい問題ですね。
確かに、年次の有給休暇はたしかに労働者の権利です。理由を言わなければならない義務もありません。
しかし、なかなか採用ができず、ギリギリの人数でやっている中で、 有休を取られるとなると、事情を確認せざるを得ないお気持ちもわかります。
結論から申し上げると、これは
「パワーハラスメントとまでは言えない」
ということになるかと思います。
理由としては、うちの会社に有休なんてない、絶対に取らせないということを言っているわけでもなく、
理由を聞いてとらせないというより、時期をずらしてもらえる余地がないかの確認をしているに過ぎないと考えられるからです。
例えばある職員「だけ」10回申請して10回断られたとなれば、
それは確かにハラスメントの可能性もでてきてしましますが、
全員同じ状況にあるのであれば、ハラスメントと断定はできないというのが実情ではないでしょうか。
(それがハラスメントになってしまったら8割の医療・介護事業所は潰れてしまうことでしょう。)
本当にそうした苦しい状況にある法人様は少なくはないと思います。
有給休暇をしっかりと取らせてあげたいと思う反面、休みを取らせてしまうと 事業が成り立たなくなってしまう。
採用をしたいけれど、売り手市場でなかなか採用もできない・・・
八方ふさがりのところもおありでしょう。
しかし実は、 このように、同じように苦しい環境・状況にある中でも、
それを「力に変える」組織と「ハラスメントと言われることに怯える」組織 というものが、事実として存在しています。
「力に変える組織」は、その苦境を共に協力して乗り越えていこうじゃないかという気概と使命感に満ちあふれ、
管理者側とスタッフが同じ方向を向いている組織。
一方で、「ハラスメントに怯える組織」は、「なんとか不備を指摘されないように」という弱腰な管理者側と
「それをついて権利を獲得しよう」というスタッフの対立構造にある組織です。
利用者様、患者様にとっても前者の方が幸せそうですよね。
(売上もあがって人もどんどん採用できそうです)
では、両者の差はどこから生まれるのか?
それは「理念浸透」(リーダーシップ)によるところが大きいと感じています。
ハラスメントにならないように注意しよう・・・ではなく、
(もちろんそうした教養も必要です)
「全員で同じ方向を向けることに全力を尽くす」ということが真のハラスメント予防とも言えるのかもしれません。
そしてそれは、リーダーシップという技術によって、成されるものであり、 知っていえさえすればどこの組織でも実現できるということだと思います。
このように難しい時代だからこそ、ハラスメントに怯えたり、スタッフの権利獲得の主張に戦々恐々とするでもなく、
スタッフと管理者(経営者)が同じ方向を向けるようにする努力をしていく時なのではないでしょうか(^^)
こうした質問等、随時受け付けておりますので、お気軽にフォームよりメッセージを頂ければと思います♪
人事コンサルタント
金森秀晃