皆さんは「上司代行」というサービスについてご存知ですか?
これは文字通り、外部のマネジメント専門家が上司の役割を担うサービスのことです。
昨今はマネジャーになりたくないという若者が増えてきていることから、
やむにやまれずこうしたサービスを使うところが増えてきたということなのでしょう。
この状況、個人にとってはいわずもがな朗報でしかありませんよね!
マネジメント技術を持った人間の市場価値がこれからどんどんあがっていくということが証明されているからです。
組織づくりが得意なマネジメントスキルを有した人材は
どこでも引っ張りだこになるということですから、
今組織でそうした役回りを頂いている人にとっては
その技術を磨く「大大大チャンス」ということです。
この風潮を利用して内部で「マネジャーになりたい!」という人材を増やしたり、
「マネジメントスキルを高めると市場価値が高まる!」という意識向上につなげるならよいのですが、
仮にまかり間違ってこのサービスを導入することになってしまうと、
組織には一気に暗雲が立ち込めることになります。
なぜか?
それは、瞬く間に組織の弱体化を招くからです。
(コンサル会社からしたらものすごく売れる商品なのですが
ここではあえてお勧めしませんといってしまいましょう…笑)
まずその代行業者があまり優秀でない場合は
正論ばかりで実際現場を動かせないということもあると思いますし、
最悪、破壊してしまう可能性もあります。
そしてその破壊した責任をとってくれることはありません。
契約を切って別のところにいくだけですからね。
また、仮に超優秀な上司代行にあたっても、
そのノウハウが組織の中に残っていかない可能性が高いでしょう。
その上司の暗黙知を形式知化して組織に残すことは
おそらく上司代行業の業務に含まれないからです。
そうなると、組織の極めて重要な中枢に当たる部分を
外部に依存することになるのです。
ともすると、乗っ取られる可能性すらありますよね。
組織の強さは、ある意味マネジャーの強さ。
マネジャーがトップの意向を理解しロイヤルティと覚悟をもって
職務にあたるからこそ組織が組織として成り立っていくのです。
そういう意味では、トップの強さとはマネジャーの育成力とも言えます。
ですから上司代行に頼らねばならない状況を作るよりは
まだ間に合ううちに若手が「マネジャーになりたい」と思える環境づくり
人事評価制度、報酬制度、教育制度を整備していったほうが間違いなく良いでしょうね。
世の中の潮目を見ながら、
個人としてどうあるべきか、組織としてどうあるべきか
考えていきたいですね!
参考にしていただけますと幸いです。
人事コンサルタント
金森秀晃