「うちはあまり昇給幅が大きくないから、
最低賃金があがってしまうと新人の入職時点で
10年選手と同じような給与になってしまったりする可能性があるんです。
賃金制度の見直しをしたのですが、これから最低賃金があがるたびに
賃金制度を作り直さないといけないような気がして、
どうしたらいいか困っています」
先日、相談会にてこのようなご質問をいただきました。
確かに、真面目に10年勤務して主力戦力として活躍している方よりも
新卒1年目の戦力として1人カウントが厳しい方の方が給料が高い
という事態はかなりマズイですよね。
10年目の方にとっては理不尽に感じるでしょうし、
1年目の方にとっても気まずい上に将来に希望がもてません。
ですが、全員をベースアップして賞与も満額支給していたら経営がもたない…
今変えてもまた賃金あがるだろうから意味ないんじゃないか…
ということで足踏みしてしまう組織も多いように感じております。
この場合、賃金制度改革についてどのように考えていくとよいのでしょうか。
賃金制度は経営目的達成のための手段の一つに過ぎませんから
「これが唯一無二の正解だ!」ということはもちろんないのですが、
「絶対にやってはいけないこと」が3つだけあります。
3つをまとめて一言で言ってしまえば
今この瞬間のことしか考えていないその場しのぎ。
早速「絶対やってはいけないこと3選」について一つひとつ見ていきましょう。
1)爆発するまで放置する
「給与明細の見せ合いなんてしないだろうから、バレるまでそっとしておこう」
これは明らかに職員の方をナメていることになるのでお勧めしません。
単純に時間で割れば時給がでてきてしまうわけですから、
賃金テーブルを公開していないとしても、最低賃金のニュースを見れば、
あれ…と気づく方が出てくるのは間違いありません。
この問題を放置していた経営陣に失望する人を作ってしまい
離脱を招く可能性が高まります。
(実際にこれで中堅層が一気に大量退職した例もあります)
2)一時しのぎの見直しを繰り返す
調整給や一時しのぎの手当等で継ぎ接ぎのように賃金をいじっていくと
いずれしっかりと構造改革をしていくときに、それが足かせになってスピード感がなくなり
結果的に出血(出費)が増えてしまうことがあります。
本当に一時的にということであれば仕方ない部分もあるのですが、
一時しのぎは3年以内で終わらせないといけません。
その調整が「生活給」化してしまうと、取り払うのが難しくなるからです。
3)基本給や手当のみを見直す
ベースアップは職員にとってはもちろん嬉しいことではありますが、
全職員のベースアップとなると場合によっては
収入(診療報酬)は増えないのに支出が大幅に増えることになるわけですから、
経営的にはかなりリスキーな選択になります。
ですが、基本給や手当も賃金を構成する一項目でしかありません。
どこかで総人件費を調整する場を設けておく必要があるでしょう。
わかりやすいのは賞与や退職金。
賞与を機会的に4ヶ月出してきたところが、賃金のベースアップをするけれども
賞与は利益の~%から出して評価によって差をつけて配分するということにしたら
基本給のベースアップはするけれど利益がでなければ賞与で調整ということもできるようになります。
こうした改革は基本的に反発を招くことも多いですから、
ついついその場しのぎになったり後回しになりがちなところかと思いますが、
放置していたらいずれ職員から愛想を尽かされますし、
職員にいい顔をして経営破綻を招いては患者も職員も守ることができません。
これから最低賃金はほぼ確実にどんどんあがっていくわけですから、
問題から逃げずに、早め早めに対策をとっていくことをおすすめします。
そうはいっても自分はそこまでそうした分野に詳しくないし…
という方も多いかと思いますので、
もし賃金面の構造改革に不安を感じる方がいらっしゃれば
お気軽に弊社のコンサルタントまでご相談ください。
その場しのぎにならない、経営の安全性も考えた賃金制度のデザインについて
一緒に考えさせていただきます!
(無料相談会もありまして、その場で解決できればご依頼頂かなくても大丈夫なので、ぜひ気軽に使ってくださいね!)
人事コンサルタント
金森秀晃