「今までずっと定期昇給の年功序列スタイルで
賞与も一律で支給してきたので、人事評価を取り入れて、
昇給額が下がる人や賞与が下がる人が出るのは
相当な反発があるだろうから、踏み切れずにいます。
辞める人がでないか心配です。」
報酬制度も含めた人事制度の再構築を検討なさっている法人様より
このようなご相談をいただきました。
確かに年功序列の定期昇給、賞与は一律満額支給
のような状態に慣れてしまっているところでは、
役割を果たさないと給与が下がったり、
賞与が少なくなるという事実を突きつけられたら、
ある程度の反発が起こるのは間違いないと思います。
就業規則にそのように書いていなかったとしても、
当然の権利だと思っている方もいらっしゃると思われるからです。
そんなとき、どのような視点で人事制度の方針について決断をし、舵を切っていけばよいか?
この答えについて、ご紹介していきたいと思います。
その答えは一言で言えば、現場の反発は(一旦)さておき
組織の目的や目標達成の確率を高める方を選択せよ!というものです。
そもそもですが、
人事制度というものは組織から職員の方に対して
「組織としてどんな人を大切にしたいか」
というメッセージです。
それが年功序列だった場合は
「長く勤めてくれる方を大切にします」
というメッセージを優先することになりますし、
ジョブ型など実力主義の制度だった場合は
「こういう役割を果たしてくれる人を大切にします」
というメッセージを優先することになります。
当たり前ですが全員が全員「得する」制度というものは存在しません。
例えば前者の場合は、歴が短いけれど、
有能で勤務態度も良い人が割を食うことになりますし、
後者の場合は、歴は長いけれど職務レベルが高いとは言えない人が
いい思いをしないということになります。
この場合、
八方美人的な発想では決断はできませんから、
どちらが「良い」「悪い」ではなく、
どちらが組織の経営目的を果たす上で確率を高めることができるか
という視点で判断すべきです。
そして起こり得る反発やコストの問題などをリストアップしていき、
一気に導入するのではなく準備期間を設けるのか、
段階的に導入して慣れさせていくのか、
反対なさっている方をどのように巻き込んでご理解いただくのか、
どのようなケア・補償をして安心感を与えればよいのか、
などの対策を考えていきます。
一番簡単なのは、
「どのような資質があり、どのような姿勢があり、どのような経験があって、
どのような能力があって、どのような役割を果たしてくれる人が
組織の明るい未来を作ってくれるのか。」
ということについて、現場の方々を巻き込んで一緒に考えていくことです。
そうすれば、どういう人材が組織から大切にされるべきかということが
自ずとわかってくるので説明がいらなくなるからです。
すべて平等にというのは一瞬全員を大切にしているようではありますが、
見方を変えれば、当事者意識高く頑張る人を冷遇しているとも考えられます。
いわゆる「頑張り損」というやつですね。
いずれにせよ、重要なのは経営目的に即した手段になっているかという目線の決断と制作過程の合意形成です。
組織として何を大切にして、どのような人を大切にしていくのか、
人事制度改革がこうしたことを考える一つのきっかけにできれば
それだけでも組織がみるみる変わっていきますよ!
院内で議論を交わす際の参考になれば幸いです。
また現在新規のお客様にはコンサルティング開始時期について
少しお待ちいただいているところもございますが、
ご相談に関しては現在も無料で受け付けております。
どういう方向性で話し合いをすればよいか迷っている等ございましたら
お気軽にご相談ください!
人事コンサルタント
金森秀晃