「所詮、仕事。
頭なんて下げとけば?って思うけどね。」
若手の事務職員が医師とのコミュニケーションに悩んでいて、
「言った」、「言わない」でぶつかるというような話が出た際に、
とある病院の事務長がおっしゃった言葉です。
私はこの言葉をきいたとき、なんだか少し意外だなと思いました。
というのも、
その事務長は院長からの信頼も厚く、経営手腕もある方で
いつも情熱的で、自分の意見をはっきりもった方だったからです。
「◎◎事務長が、所詮仕事というのはなんだか意外でした」
と真意を聴いてみると…
「確かに、俺そういうキャラじゃないよね(笑)」
と言いつつ、その言葉の背景を教えてくださいました。
「昔は自分が間違っていないと思うと、
延々とその主張をしてはぶつかっていたんだけど、
それだと本来成し遂げたいことが遠ざかっていくし
相手が変わるわけでもないじゃないですか。
それで、やる気のない人たちの主張がまかり通り
自分の考えが受け入れられない状態が続いて、
すごく虚しくなってモチベーションも下がった時期があったんですが、
そのときに、お世話になった当時の上司から
”所詮、仕事じゃねぇか。もっと楽しめよ。”
と言われて、ハッとしたんです。
自分ばかりが大変な思いをしていると思っていたけど、
実際、うちの患者さんたちがやりたくてもできない”仕事”であって
ある意味、”娯楽” “ゲーム”と変わらないじゃないかと。
所詮仕事だと思い始めてからのほうが、
変なプライドなどもなくなって、よっぽどのことがない限りは
自分が間違っていると思わなくても頭は下げられるようになったりして、
その方が相手も変わってくれることに気づいたんですよ。
目的を果たすためには、かえってこっちのほうがいいんだなと思いました。
だから、一生懸命でまっすぐな部下に対しては、あの時の上司みたいに
”所詮、仕事じゃねぇか。もっと楽しめよ。”
って言ってやりたいですよね。」
社会に出ると、なんで自分が?と思うことも多々あると思います。
その度に「生身の自分」ですべてを受け止めてしまうと辛くなってしまうと思いますが、
「所詮仕事」と思うと、RPGのように自在にアプローチを変えて
局面を自分で切り開くことができるということなのかもしれません。
百戦錬磨の事務長には学ばされることばかりですね。
日々精進!
人事コンサルタント
金森秀晃