組織の新陳代謝や若手育成、働き盛りの職員に好待遇で応えるためにも
55歳~60歳程度で役職定年を設ける組織が増えてきています。
「役職定年」という制度自体は同じでも、その運用や扱い方で
役職定年を迎えた方のモチベーションや
新しく就任した管理者の活躍に大きな差が出ており、
問題を抱える組織も少なくありません。
人事制度改定に伴いこのあたりの整備もなさる組織が増えてきましたが、
その際に絶対にやってはいけないポイントについて共有させていただきたいと思います。
それは…
「役職が外れた人は他の部下と同じようにプレーヤー業務のみやってください。
役職ないので給料は今の~割くらいになります。」
という非常に雑な制度設計です。
これは新しく上司側になった方もその方の扱いに大いに戸惑いますし、
役職定年になった方も自助努力でモチベーションを保つことはとても難しいでしょう。
こういうパターンでも、もちろんうまくいくケースもあるのですが
それは役職定年を迎えた方がマネジメントや組織というものをしっかりと理解し、
客観的な立場に立って自分がどう立ち回ることが新しい上司や組織にとって有用かまで考えて実行できるケースです。
そんな優秀な方ばかりであればありがたい限りですが、現実はそうもうまくいきません。
その日を境に能力が急激に衰えたわけでもないのに
急に責任と権限だけがなくなったことに適応することができず、
新しい上司のお目付け役のような立ち位置をとってしまったり、
新しい上司の不出来なところをメンバーと共有してその方の指導力を貶めてしまったりして
新しい上司も委縮してリーダーシップを発揮できなかったりというケースが多く見受けられます。
もちろんその方々にも悪気は全くなく、
むしろ環境に適応するための自然な反応なのだと思います。
だからこそ制度設計段階で、単に役職をなくして報酬を削減するだけでなく
役職定年を迎えた方にはどういう役割を求めたいのか?を明確に設定しておき、
それを評価する仕組みを整えておくべきだと思っています。
マネジメントサポート、後進の育成など、元々マネジメントを
やっていたことがある方にこそ任せたい仕事がきっとあるはずです。
先を見通す力に長けている方、伸び悩んだ子を育てるのが上手な方、
プレイヤーとしてとにかく優れている方、
仕事への姿勢がとにかくプロフェッショナルで見本になる方、
その方の良いところを活かせる役割期待を設定して頼りにすることで、
役職定年を迎えた本人にとってもモチベーションにもなることはもちろん
新しい上司も格段にやりやすくなりますし、
チームのメンバーや組織にとってもよい影響がもたらされるわけです。
ちなみに、これはいわずもがなですが、マネジャーとして非常に優秀な人材を
「その年齢に達したから」という理由で必ず外すというのもナンセンスなので、
マネジャーとして優秀な方であれば例外を設けて継続という形も公式に用意しておくべきでしょう。
A)マネジャー継続 or 昇格
B)マネジメントサポート
C)専門性を生かした役割や後進育成
D)プレーヤー業務の見本
などのパターンを用意しておくと便利ですね。
支給総額調整目的の役職定年という制度だけが独り歩きして、
役職手当がなくなってプレーヤー業務やってくださいという形になってしまうと、
組織のエネルギーが低下してゆくゆく大ダメージにもなりかねないので、
「うちの制度ってそうなってるなぁ…」という方がいらっしゃいましたら
早めに手を打たれることをお勧めします。
ただそうはいっても賃金などが絡むと悩ましい問題もたくさんあると思うので、
そんな時は是非お気軽に弊社の無料相談サービスなどをご活用ください。
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ちなみにこちら「なんかちょっとハードルが高いです」
というお声を先日頂いたのですが(笑)、
この無料相談で解決できればそれだけでも十分だと思いますので、
本当に気軽な気持ちでご活用くださいね(^^)♪
人事コンサルタント
金森秀晃