皆さんは2022年の本屋大賞を受賞したことでも話題になった
『同志少女よ、敵を撃て』という作品をご存じでしょうか?
独ソ戦が激化する1942年、ソ連(赤軍)の少女たちの戦いを描いた作品ですが、
単なる「国と国の戦争」ではなく、戦時下における
様々な立場の人間のそれぞれのリアルが善悪の概念を越えて生々しく描かれており、
人間とはどういう生き物かという本質をまざまざと見せつけられるような作品だと思います。
言及したいことは多々あるのですが、
その中の一つをご紹介してみたいと思います。
(以下、ネタバレ含むのでお気をつけください)
それは主人公セラフィマの所属する小隊の中でも
飛びぬけた狙撃の天才を持つ名手「アヤ」が最も早くに戦死したことです。
あまりのあっけなさに個人的には衝撃を受けました。
アヤは元々カザフの遊牧民であったものの
ソ連下ではそれが「啓蒙対象」になってしまうため
「自由のため」に戦うのだという動機を持っていました。
スコープを覗き集中している間に流れる静寂が
彼女が心地よさを感じる「自由」だったのでしょう。
初の戦闘でそのゾーン状態を感じてしまったアヤは
イリーナ教官の教えや指示を守り切れず、
その場に止まり目立つところから狙撃を続けてしまい
結果的に敵の標的となり命を落としました。
ここで感じたのは戦時下でも平時でも、
「原理原則から外れたものは成功しない」ということです。
誰もが認める「天才」でも、とんでもない「逸材」でも、
それゆえの驕りやその鋭い感覚を拠り所にしてしまって原理原則から外れると
戦時下では「死」を招きますし、ビジネスの世界でも「敗北」を招く
ということなのだと思います。
逆に言えば、天才でなくても、能力が低くても
基本や原理原則を押さえていれば生存確率があがり
勝率があがるということになります。
これしか書けないことがもったいないと感じるくらい
非常に学ぶところの多い作品ですが、
今の社会情勢からいっても一読の価値ありな作品だと思いますので
お時間ある方は是非ご覧になってみてください(*^^*)
人事コンサルタント
金森秀晃