「狂気と道具」
人間関係はそれだけでいい。
カレはそう言ってほくそ笑んだ。
ボクら以外には到底笑顔とは受け止められないようなカオで。
ボクの10代はほぼカレによって翻弄され続けたといっても過言ではない。
常に付きまとい、
ボクのタイミングや事情お構いなしにズカズカと入り込んでくる。
その図々しさには本当に恐れ入る。
ときには
ボクの不機嫌を過剰に読み取って
いち早く対応してくるのだけども
そのどれもが
浅くて軽くて、そして遅くて
ボクをさらにをイラだたせた。
そして言うんだ
「お前のことは俺が1番よく分かっている」
と。
ボクは密かに絶叫するしかなかった。
声にならないコエで。
決して声をあげてはいけない。
決して。
それはボクらの暗黙のルールのようなものだった。
もし誰かが思春期ならではの不注意と繊細さでついそれを忘れようなものなら、
その刹那カレは豹変する。
ただ、
その実
ボクはそこまでカレの執拗が嫌いになり切れなかったし、
それを口にするほどの度胸も根性もない。
狂気を持って人をを道具として扱う。
それがカレの言い分だが、
果たして
本当にそうなのだろうか。
人間に期待し過ぎているのではないだろうか。
ボクはいつもそう思っていた。