「七五三現象」という言葉を
お聞きになったことがあるでしょうか?
新入社員が3年後には中卒7割、高卒5割、大卒3割が退職してしまう現象を言い表したものです。
様々な法人様のお話を伺っていると、離職の原因として挙げられるのは肌感覚ですがダントツで周囲との関係性のように思います。
と同時に離職を踏みとどまる要因も、周囲との関係性がダントツで高いように思います。
先日、ある医療系の法人様のコンサルティングの中で自部署の1年以内の離職率をゼロにしたAさんにお話を伺う機会がありました。
その病院は業務量が多い上に、給料面では他の病院と比較すると
決して高くないハードな環境でした。
Aさんが所属長である薬剤部では、毎年3~4割の新人が最後まで教育を終えられずに
ドロップアウトしてしまう状態が続いていたのだとか。
そんなAさんの周囲に変化が起き始めたのは、1年半くらい前のことだっだそうです。
その変化とは
昔は、辞めることを決めてからの『事後報告』だったのが、
迷っている段階で相談してくれるようになったという事です。
何が起きたのかをと聞くと、Aさんは、
「アドバイスを一切やめたんです」
と一言。
続けて
「私は長年薬剤部にいますから、たいていのことにアドバイスできるんです。
ただ、自分が新人だった時代と今は環境もまったく違うので、
彼らに私のアドバイスがそのまま役に立つわけではないと思います。
アドバイスをすると、真面目な彼らは
『あの人にはできたかもしれないけど、私にはできない』と、
逆に自信を失わせて終わりになってるかもしれないなと気づいたんです。」と話してくれました。
とはいえAさんは、放任していたかというと決してそうではなく
下記のことを継続していたのだそうです。
▼葛藤を話せる環境づくり
Aさん曰く相手がどんなに自己本位なことを言っても、
否定したり、求められてないアドバイスをしないようにしたのだそう。
自分の迷いや葛藤に対峙させるには、他者からのアドバイスは逆効果になってしまうと考えているからなんだそうです。
小さな迷いや葛藤が積み重なることで無力感を味わい、居る意味を見出せなくなって離職する場合方が多いので、大切なことですよね。
▼辞めたいときは止めずに考えさせ、自分で選択させる
・将来、誰に何をもたらすような薬剤師になりたいのか
・それには今の状況で何を変えられるか
を問い、考え・選択させる。
この二つを繰り返してAさんの部署では、新人教育からのドロップアウトはゼロになったそうです。
お話を伺う終盤でAさんは「まぁ私も、もっと早くからこうできてたらなぁ、昔のスタッフには申し訳ない事したなぁと今でも思う時はありますけどね」
とちょっと苦笑いを浮かべながら呟いていました。
長きに渡り現場で多くのスタッフの岐路を見守ってきたからこそ行きついた結論は、こういった思いを内包しながら強化されていくのだと思います。
参考になりましたら幸いです!
人事コンサルタント
金森 秀晃