先日、ある医療法人様でオンラインで中堅職員の研修をさせていただきました。
主に3~5年目のスタッフが中心となった構成だったのですが、人が変わる瞬間はいつ訪れるかわからないものなのだなと改めて思わせて頂いとことがありました。
医療業界での専門職とは、いわば職人の集団のようなものです。
各々が自分のスキルを高めたい、という意欲に溢れている方が多いように思います。
研修に参加していた、Aさんもそんな意欲が高いスタッフのひとりでした。
しかし、Aさんは先輩からずっと「プロ意識を持て」と事あるごとに言われ続けていたそうです。
Aさんは「はい」と返事をしながらも内心は
”私、休みの日に勉強もしてるし、手技の練習もしてるし結構意識高いほうだと思うんだけどな”
と先輩がなぜそのように言っているか真意を測りかねていたそうです。
ある日のことです。
Aさんは自分ひとりでどうしても対応しきれないかもしれない事が起こりました。
でも、自分でどうにかしなきゃと手をこまねいて、判断が遅れ危ないところを間一髪でフォローしてもらった事があったそうです。
要因を先輩と振り返りをしていると、先輩から「Aさん的にプロ意識ってなんだと思う?」と尋ねられました。
Aさんは「自分で勉強して高めたり、自分で対応が出来る人のことだと思います」と答えました。
すると先輩は、「プロ意識というは自分の納得感やレベルアップのためだけに働かないことだよ」と言ったそうです。
この言葉にAさんはハッとしたそうです。
自分の仕事の仕方は、患者さんや周りのスタッフのことではなく、自分しか見てないと・・・
プロ意識は、意識が相手の方に向いていてこそ、真のプロ意識である。
自分の意識がこの真逆だと受け入れざるを得なく、不快で仕方が無かったそうなのです 笑
「できることを増やしていれば良いと思っていたけれど、
実際はその逆で、できないことを発見し続けて、時には他人の力を借りながら結果を出せることがプロなのだと自分の”プロ意識”の低さを知って、最初はショックでした。
ですが、同時にできていない自分はいなくなることはないというのが分かり、これまでよりも肩の力を抜いて取り組めるようになったような気がします。」
そうAさんは晴れ晴れとした表情で言っていました。
意識の方向性の違いで、注力するべきところが微妙に違う。
その微差の積み重ねが、本当のプロ意識を育んで行くように思います。
人事コンサルタント
金森 秀晃