次世代の高速モバイル通信規格として、現在各方面から大きな注目と期待を集めている「5G」。
海外の一部の国・地域では既に先行してサービス提供が始まっており、日本においても2020年中に大手キャリアから5Gの公衆網サービスが提供される予定になっています。
5Gの3大特徴として
「高速・大容量」
「低遅延」
「多接続」
があります。
今後、本格的なIoT時代が到来し、多数のデバイスから大量のデータが無線ネットワーク上を流れる時代になると、5Gのような高性能なモバイル通信技術は欠かせないものになると思います。
そのため現在、官民挙げて5Gのインフラ整備が急ピッチで進められていることは、ニュースで耳にする方も少なくないかもしれませんね。
一方で通信キャリアの5Gサービスに先行する形で、一般企業が通信キャリアのサービスを介さずに自ら直接運用する「ローカル5G」の取り組みが本格的に立ち上がろうとしているようです。
総務省は2019年12月にその利用申請の受付を開始しました。
企業はこの申請にパスすると、自社の敷地内でローカル5Gを利用できるようになります。
(申請パス・運用スタートのためのリードタイムは半年から1年程度かかるとされており、運用に至るまでの計画はしっかりと立てる事が求められます)
ローカル5Gは現在、さまざまな産業領域において「ブレークスルーをもたらす技術」として大きな期待を集めています。
医療現場における遠隔医療などを実現する上でも、こうした通信インフラは欠かせません。
その背景にあるのは、医療で使う画像が高精細化していることがあるとされています。
最近は画像診断装置の性能が高まり、画像の高精細化が一気に進みました。
医療施設内などの“ローカル”な利用では、高精細な画像を使って診断などを行うことが急速に一般化してきています。
医療分野では医師不足や医師の偏在が大きな課題となっている昨今、
場所を問わずに医療画像を利用できるようにする仕組みへの期待は、とても高いものがあるように思います。
新型コロナウイルスの感染拡大が全国に広まったことから、改めて課題として取り沙汰されたように、
医療が全国にまんべんなく広がる「均てん化」が実現できていない現実があります。
過疎地域と大都市の間の医療環境の格差がどんどん拡大してしまう危機感は、医療業界では今後さらに高まっていくかもしれません。
そうした中で、医療を均てん化するための方策として、遠隔医療をより活用していかないといけないという医療側のニーズ、後押しがあるのです。
また患者側にとっても、高齢で交通手段が限られている、地方在住で遠方にしか病院がない、などといった、いわゆる医療難民から脱することができるという期待は高まっていくように思います。
あらゆる地域から大容量通信で高画質な医療画像を届けることで、いつでもどこでも質の高い医療を受けられるような環境を整える・・・
5G時代への突入は、私達人間がどうしても超えることが難しいとされていた、物理的な隔たりや質の格差をいともたやすく解消してくれるかもしれません。
医療業界において、5Gが担うであろう役割と期待は、ますます大きくなっていくことは必然とも言えそうですね。
人事コンサルタント
金森 秀晃