将棋界の“天才”藤井聡太七段を撃破するビックサプライズを起こしたプロ棋士・今泉健司さんという方がいらっしゃいます。
“サプライズ”がおきたのは2018年6月11日。
NHK杯1回戦第16局 今泉四段vs藤井七段。
下馬評は圧倒的に藤井七段有利でしたが、今泉四段が粘って、粘って、粘って、大逆転勝ち。
当時の将棋界では大きな話題になりました。
先日、同氏のインタビュー記事を拝見しました。
なんといってもあの”天才”に勝つくらいだから、
負けず劣らず才能に溢れた方なのだろうなと思っていました。
しかし実は、41歳で棋士になるという、史上最年長の遅咲きの苦労人だったのです。
過去2度もプロ棋士になるチャンスを逃すなど、失敗もしています。
ともすると”凡人”と評されそうな今泉さんが”天才”に勝つ大逆転劇を演じたきっかけは、ある『仕事』との出会いだったのだそうです。
それは、介護の仕事でした。
背水の陣で臨んだものの、プロ棋士になるチャンスを2度も逃し、失意のどん底で実家に戻った今泉さん。
最初は求人が多いという理由で介護の仕事を選んだそうです。
特に大志もないまま始めた仕事でしたが、
認知症の入居者の方とのかかわりが、大きく自分を変えたのだそうです。
「普段どんなに叫んだり、つじつまの合わないことをおっしゃっていても、人生経験を蓄えてきた
目上の方々なのだと、働くにつれて敬意と感謝の念が芽生えたときに、何かが変わってきた。」そのように感じたのそうです。
介護の仕事を続けながら、アマチュア棋士として好成績を残し、プロ棋士編入試験の資格を獲得します。
3度目のプロ入りのチャンスを見事ものにして、史上最年長のプロ棋士になりました。
プロになれた要因を、今泉さんは介護の仕事をしたおかげだとしています。
ひとりで仕事をすることはできないから、自分の出来ないことや弱さに向き合い、越えていかざるをえない。
これを仕事を通して鍛えられたことが、将棋での様々な局面でも活かされたのたそうです。
仕事を始めたきっかけは何であれ、どんな状況でも人はしなやかに強くなっていける。
そんな無限の可能性を感じさせていただきました(^^)
人事コンサルタント
金森 秀晃