新しい年度が始まって半年。
リーダーとして、新しく入ってきた部下に対していろいろな支援や気遣いをしてきたつもりが、思った以上に伸びない――そんな経験はありませんか?
言われたことは普通にこなすけど、それ以上のことをしてくれない。
もっと主体的に、どんどんチャレンジしてくれると思っていたのに……。
前評判が高かっただけに、正直期待外れのようにも思えてしまう。
こんなふうに、相手に対して諦めが入りやすい時期とも言われています。
この時期に、自分や相手に対してどんな呪文をかけているかが、その後の成果を左右することがあります。
それは「(自分は)~できない」・「(相手は)~してくれない」という呪文です。
1964年、米国サンフランシスコの小学校でこんな実験が行われました。
児童に知能テストを行ったあと、無作為に数名の生徒を選び、教師に「今後数カ月で学力が伸びる子ども達です」と嘘の情報を与えました。
結果、期待を込めて教えられた子ども達は、元々の学力とは関係なく、本当に成績が伸びました。
こうした現象を、教育心理学の世界では「ピグマリオン効果」と呼びます。
無意識ではありますが、教師のポジティブな気持ちに、子ども達は影響を受けたのです。
人には“相手から期待された成果を出しやすい”という性質があるということですね。
この逆のパターンもあります。
無意識でも“この子は伸びない”と思われた子ども達は成績が伸びにくくなる傾向が出てしまう。
これを「ゴーレム効果」と呼びます。
子どもの方が顕著に結果が表れますが、大人でも同様に表れます。
口に出さずとも
「思った以上に育ってくれないなぁ」
「正直期待外れだったなぁ」
と思われながら日々を過ごしている人は、無意識にその思いを感じ取り、成長しにくくなるとされています。
捉え方をかえれば、自らや相手ににどんな呪文をかけるか次第で、
未来を作ることができるとも言えるように思います。
ぜひこの時期に、自分が普段どんな呪文をかけているか、振り返ってみるのもいいかもしれません。
人事コンサルタント
金森秀晃