「汝自身を知れ」
この言葉はデルフォイのアポロン神殿に残された古代ギリシャ人の言葉です。
時季的に、新人研修や昇格者対象の研修などをさせていただくことが多いのですが、
その時には必ずと言っていいほど
「汝自身を知れ(自分自身の事を知ろうとしよう)」ということをお伝えしています。
その理由としては自分の現状の能力を把握してないが故に、
全てが上手くいっていないような感覚に陥り、
容量オーバーになってしまう方が多いからです。
ほとんどの人は、正確に自分の能力を把握できていないとされています。
マネジメントの大家であるピーター・ドラッカーは
「誰でも自分の強みについてはよくわかっていると思っている。だが、たいてい間違っている。わかっているのはせいぜい弱みである。それさえ、間違っていることが多い」
と著書の中で述べています。
「何が得意か」は、実際には「何が好きか」ということで、
「何が不得手か」は、実際には「何が嫌いか」ということだと捉えている方は多いように思います。
自分の得意・不得意を知るということは
「自分の現時点での限界を見極めること」のように思います。
これが見極められていないことで、
・嫌いな仕事が回されたときにモチベーションが下がる
・現時点でできないことを0か100かで捉えてしまう(できないのが✕で、デキるのが〇)
・現状と理想の状態のギャップが把握できず、能力の有無のせいにしてしまう
ということに陥ってしまいます。
では、どうすればよいのでしょうか?
見極めのポイントとして、大きくふたつがあります。
①仕事の食わず嫌いをやめる
上司の「とりあえず、つべこべ言わずにやってみろ」という指示を受けたことがある方は少なくないと思います。
と同時に「なんなんだよ・・・」と思いつつも、やってみて初めて「ああ、このことに気付かせたかったのかな」と感じたことがある方も少なくないと思います。
少なくとも、あなた自身よりも上司の方があなたのことをよくわかっている可能性が高いと言えます。
最初から「嫌いだから」という理由で断ってしまっては、自分の可能性をみすみす見逃してしまうことになるかもしれません。
②仕事で受ける指摘や、批判をよく分析する
大抵の人は感情が先行するため、指摘や批判をうまく取り扱うことが苦手です。
ですが、受けた指摘や批判を分析することは、自分の限界や弱みを知るまたとないチャンスになります。
特に、「私的にはそういうつもりないんだけどな・・・」と感じる指摘ほど、大好物になるとよいと思います。
大事なのはその批判の整合性ではなく、批判を吟味することそのものだからです。
いかがでしょうか?
自分の(現時点での)限界を知ることは、
それ以上できないという天井をしることと捉えがちですよね。
ですが正確に捉えることで、今の限界を超えるためだったり、
能力を発揮させるためには何を強化していった方がよいかを
把握する精度が高まるように思います。
人事コンサルタント
金森 秀晃